四人の男たち
「えっ……あなたは……?」
ドローレスは呆然となった。部屋に入ってきたのは精悍な顔立ちの男性だった。ドローレスは直接の面識はなかったが、彼の事を知っていた。確か、クレアのハーレムの一員ではなかっただろうか。
「ロビンだ、ドローレス」
男は軽く自己紹介すると、こちらに迫ってきた。その口調や仕草にやけに熱が籠っている気がして、ドローレスは困惑する。
「ドローレス様!」
だが、異変はそれで終わりではなかった。次から次へと部屋に男性がやって来る。それは皆、クレアのハーレムの構成員たちだった。
「ああ、やっと本物の愛を見つけました……」
「真の聖女……これからは、私が一番近くでその力を見届けてやろう」
「あなたの美しさの前では、どんな言葉も色褪せてしまう……。この想い、一体どう伝えればいいのか……」
「あんたの事、守ってやるよ。俺の剣は一生あんたに捧げる」
ルース、セシル、カルヴァン、そしてロビン。彼らが繰り出す溢れんばかりの愛の言葉に、ドローレスは目を白黒させた。隣ではネルソンが頭を抱えている。
「なるほど……こういう弊害もあるのか……」
何か知っているような口ぶりだが、今のドローレスはそれを聞き出すどころではない。クレアのハーレムのメンバーに囲まれて身動きがとれず、どうしていいのか分からずにおろおろしていたのだ。
「あなたたち、どうしてこんなところにいるの……?」
ネルソンはまだハーレムメンバーに監視されている身だ。しかし、ヒルダといた時のネルソンの近くには、他の人の気配はなかった。きっとネルソンがハーレムメンバーを上手く撒いたのだろうとドローレスは考え、だからこそ、そこまでしてヒルダと二人きりになりたかったのかと余計に嫉妬心を煽られたのである。
幸いにもヒルダと密会していたというのはドローレスの勘違いであったようだが、ハーレムメンバーを撒いたという予想は当たっていたようである。だからドローレスは、彼らが部屋にやって来たのは、ネルソンの監視を再開するためだろうと思った。
だが、意外にも彼らはネルソンに見向きもしていなかった。しかもその様子から察するに、どうも用があるのはドローレスの方だと見て間違いない。
しかしそれにしては奇妙だ。どうして彼らが自分に対して愛を囁いてなどいるのだろうか。




