表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/124

果たされた約束

「そんな事より、今はこれだよ」


 ネルソンは再びドローレスにイヤリングを差し出してきた。どきりとして、ドローレスは硬直する。


「そんなに怯えないでくれ」

 ネルソンは懇願するような声を出した。


「あなたがクレアの代わりに聖女になるんだ。大丈夫、大した事じゃない。これをつけるだけだよ」

「でも……」

「ドローレスさん、僕を信じてくれ」


 真っ直ぐに見つめられて、ドローレスは心を射抜かれたような気がした。その強い眼差しに、息が止まりそうになる。


(ああ……この人は本心から、私の事を考えてくれているのね……)


 それはまさしく、『愛』と表現してしかるべき感情だ。彼の一途な想いに触れて、ドローレスの心のどこかにあった凝り固まった部分が、柔らかく解されていく。ネルソンがこんなにも自分を――自分だけを愛してくれているという事に、どうして今まで気が付かなかったのだろう。


 馬鹿だったのは自分の方だ。変に嫉妬してみせたり、おかしな想像を巡らせたりして、結局は、自分で自分を傷つけていただけだった。ネルソンは最初から最後まで変わらなかった。変わらずに自分を愛してくれていたというのに。


 ドローレスは縛めから解放されたかのように、体が軽くなるのを感じていた。何かに導かれるような手つきでネルソンからイヤリングを受け取る。


「つけてあげるよ」


 ネルソンは微笑んでいた。ドローレスは、今なら彼の笑みに応えられると感じていた。


 だが、ゆっくりと口角を上げようとしたのと同時に、部屋に転がり込んでくる者がいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ