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「マ・ア・リ・ン」


 アタシの猫なで声に「トレンド恋魔法」を読んでるマーリンが顔を上げた。


「何だい、ミュー?」


 メガネを外そうとするマーリンの手をアタシはガシッと掴んだ。


 今、ハンサムフェイスを発動されては困る。


 逆にマーリンをメロメロにしないといけないからだ。


 アタシは精一杯かわいい顔をして甘えた。


「『モルガングレムス』って知ってる?」


「『モルガングレムス』?」


 マーリンがキョトンとしてる。


 やはり知らぬか!


 この三流魔法使いめが!


「『モルガングレムス』か!オイラ知ってるぜ!!」


 アタシは机の上のネコノミコンを超スピードで掴んだ。


 そして渾身の力で抱き締める。


「グゲッ、グゲッ、ミューちゃん、苦しい! オイラ死んじゃうよ!」


 あばよ、計画の邪魔者よ!


 今は黙ってろ!


「それはいったい何だい?」


 マーリンがアタシに言った。


「とてもー素敵な力を与えてくれるー女神様でーす」


 アタシはクネクネした。


「アーターシー、その召喚の魔法をー知ってるのー。マーリンさんに教えてあげよーかなー。どうしようかなー」


「何だってー!!」


 マーリンが食いついた!


「それは耳寄りな情報だね。ぜひ教えて欲しいよ」


 ククク。


 このバカマーリンにモルガングレムスを召喚させ、最後の契約をアタシが横取りしてやるわ!


 ケケケ!

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