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マーリンの雑用係にされて3ヶ月が過ぎた。
その間に分かったこと…それは。
マーリンがこの大きな塔にある大量の本を来る日も来る日も読む以外は一切、何もしないということだ。
塔は森の中に建ってる。
近くの村から2週間に1度、御用聞きの商人がやって来るだけ。
アタシは塔内の全ての雑用をやらされる。
と言っても、掃除や洗濯はマーリンが召喚する透明な「空気の精霊」がしてくれるのでアタシの仕事は実質、お茶汲みやマッサージ、料理だけだった。
食事に関してはマーリンは恐ろしく無頓着で、1週間同じメニューが朝昼晩と続いたところで何も言わない。
アタシは嫌がらせに何日目で怒るか試してみたが、自分が耐えられなくなって途中でやめた。
マッサージはアタシの10歳の身体が体力が無くて疲れを見せると、すぐにマーリンが「ありがとう」と頭をポンポンしてくれるので、そんなに苦ではない。
お茶汲みもそんなにヤじゃない。
ってことで、アタシのストレスはモルガングレムスを呼び出せない以外は、あの生意気な「ネコノミコン」のお喋りぐらい…。
これだとそこそこ快適ということになりはしないか?
いや、アタシの目的には程遠い生活だ。
こんな無為な日々を過ごしてる暇はない。
何とかモルガングレムスを召喚しないと…。
アタシは賭けに出た。