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「フッフッフ、フッフッフ…」
「何っ!? ミューちゃん、変な笑いかたして…」
「フッフッフ、フハハハハハ!!」
アタシは高笑いした。
いつもマーリンが読書する部屋。
マーリンは居ない。
すなわち、この塔に居るのはアタシとネコノだけ。
「どうしたの、ミューちゃん?」
ネコノが心配げに訊く。
ならば教えてやろう、この策略について…。
「エエッ!! エッチな本!?」
アタシの説明を聞いたネコノはマヌケな声をあげた。
「本気で言ってるの!?」
「もちろん、本気じゃ。あのエロメガネは必ずどこかにエッチな本を隠してる」
アタシの推理はこうだ。
若い男は間違いなくエッチな本を隠してる。
そして、母親の掃除で見つかってしまう。
そういう言い伝えがある。
なのでマーリンも間違いなく、どこかにエッチな本を隠してる。
しかも、この塔には大量の本がある。
いくらでも隠し放題なのだ。
これをマーリンが見逃すはずはない。
おそらく、かなりの数のエッチな本があるはず…。
それをアタシが押さえる。
キワドい内容なら、なおさらよい。
それをネタにマーリンとの力関係を逆転するのだ!!
どんなエッチに興味があるのかアタシに知られたマーリンは、もはや偉そうには出来ぬ!!
フフフ。
アタシの顔をマトモに見ることさえ、出来なくなるかもな。
「と、いうことでネコノには協力してもらう」
「グギャギャ。そ、それは強制なの?」
「ネコノ、『フラクタルの領域』でアタシを騙したじゃろ」
「グギャッ!!」
「自分の立場が分かった?」
「しょ、しょうがないなー、ミューちゃん。それでまさか、手当たり次第に探すつもりなの?」
「まずは…」
アタシはマーリンの寝室へとネコノを連れて入り込んだ。
「ミューちゃん、ここにあるの?」
「うむ。確率は高いはず」
アタシはマーリンのベッドの前に立った。
枕の下やシーツの下を調べる。
ないな…。
「ネコノ、ベッドの下を調べて」
「ギャバッ!!」
ネコノの2本の細い触手がベッドの下を探る。




