第6話 首都アクロポリス
まだまだバトルシーンの所まで書けないですねww
あと、4話後くらいにバトルシーン書けそうです。
個人的に好きな世界観で今のところ書けています。
良かったら評価、感想(アドバイス等)もよろしくお願いします。
「なるほど。そういうことがあったんですね」
私とおねぇは相づちを打ちながら、マヌ・ルーサさんのお話を熱心に聞いていた。
「ネクロマンサーと言うと、死者の魂を蘇らしてくれて、死んだ大切な人とお話が出来たり、今では私達の生活と身近な関係にあるけれど、昔は怪しいカルト集団だったからね。いや、実際殺人や殺戮をものともしない奴らだった。でも、そんな奴らは今はもういない。壊滅したからね。平和な世の中になったよ」
マヌ・ルーサは嬉しそうな声で顔に皺を寄せる。
「私達、ネクロマンサーの人達をまだ見たことが無いんですよね」
「大丈夫。アクロポリスには多分いるから。まぁ、街に住んでいるネクロマンサーなんて知れているけど」ルーサさんはふぅ、と溜息を吐いて窓の景色を懐かしそうに眺める。
窓からは若草色に一面に草木が広がっていた。
過ぎ去る景色——
その一角を彼女は窓越しから指をさして、
「見てごらん。あれがアクロポリスだよ。お嬢ちゃん達」
私とおねぇは、窓の外に広がる外の景色を見下ろした。
すると、目の前には正六角形の無機質な壁に囲まれた巨大な箱庭が待ち受けていた。
窓越しからは、空中を浮かぶ家や宙を走る機械など、近未来的で流動的なデザインをした乗り物や建物が見えた。
その無数の建物、乗り物、1つ1つがその『国』の技術の水準が非常に高いことが、見て取れた。
その高度な技術もさる事ながら、娯楽性や芸術性等の文化水準も高いことが分かる。
色とりどりな家や建物——
それはまるで、国全体が芸術作品と化しているかのようだった。
「おぉ~!!」
未知との遭遇。
感動体験。
まさに今私たち姉妹が直面していることだ。
「これは、凄いよ。おねぇ」
「明日から『国家試験週間』だからね。国家一大のイベントだからね。国全体が盛り上がっているんだよ」
国全体でお祭り騒ぎ。
国1つがお祭り1色に染まっていた。
これだけで明日から始まる『国家試験週間』がこの国でどれだけ重要なイベントかが伝わって来る。
「遂に、遂に来たよ。大都市だよ!! あの大都市アクロポリスだよ。こんな都会に来るの私始めて!」
「アタシもだよ。ずっと田舎にいたからねアタシ達。しょうがない。だけど、アタシ達街のことなんて1つも知らないよ。絶対に道に迷うと思う。どうしようかな」
そうだ。
私達はアクロポリスに行くのは始めてなのだ。
地図の見方くらいは分かるけど、なんせ、私達の住んでいた所は田舎だったから都会とは比べものにならないほど複雑な作りになっていることは確かだろう。
それに、地図を見たことがあると言っても、それは田舎での話――――。
都会の地図は技術の発展で私の知っている地図と違う物になっているのかも知れない。
「それじゃ、私が案内してあげよう」
なんと、ルーサーさんが案内してくれるというのだ。
「えっ!? 本当に良いんですか!?」
「ええ。もちろんよ。私の生まれ故郷だし、なによりも自分の故郷について知ってもらうのはとても嬉しいからね」
ルーサーさんはにへらと笑う。
顔に皺が寄って愛想のいい表情になる。
そんな表情をさせられると、遠慮しなくていいのではないか——と何となく親しみを感じてしまう。
「それじゃ、お願いしようかな。ねぇ、おねぇ」
「そうだね。折角だし、お願いしようか」
そんな雑談話をしている間に駅のフォームに着いた。
フォームには人が沢山いた。
「ほぉ」
それはもう、溜息が出るほどに。
向かいの駅が見えないもん。
電車内にアナウンスが流れる。
『終点アクロポリス。終点アクロポリス――――』
電車の外に出ると、少し鉄臭いような、ガス臭いような、水道の水のような臭いが鼻に付く。
「これが都会の匂いかぁ」
初めての都会の香りに思わず、大きく手を広げて深呼吸をする。
「ぐへっ!! ゲボッ! ゲホッ! ゲボッ!」
「ちょっ、フクシア大丈夫?」
「うん。大丈夫大丈夫」
ぐふっ、むせてしまった。
決して、いい匂いとは言えないかも。
においでもこのにおいは『臭い』の方だ。
駅のフォームを見渡してみると、私達がいた所とは違うものが沢山あった。
「ここには私達が見た事がないものが沢山あるんですね」
「ふふ。こんなのまだまだよ。田舎にはないものがここには沢山あるんだから。田舎も私は好きだけどね。でも、田舎にはない良さが都会にはあるものよ」
私達は気さくな老女と一緒に話しながら駅の中を歩いた。
アクロポリスの駅内は人も私達がいる所とは桁違いに多かった。
ある1つの方向へ向かう人の群れは、まるでイワシの大群の様だった。
ルーサーについて行く。
鉄の手すりが付いているプラットホームから階段を上がって改札に出た。
改札口を抜けると、左右に道が別れており、天井は長いトンネルのようになって建物を包んでいた。
「「おぉーーー!!」」
私たち姉妹は目の前の光景に目を奪われた。
見たことの無い黄金の世界——。
天井は、ガラス張りで包まれており、駅内に存在するお店も美味しそうな食べ物やお土産が置かれてあってまるで御伽の国にいるような気分だ。
「す、凄い所ですね。ここ」
「でしょう? 色んな国の文化がこのアクロポリスには集まって来るから、文化と文化が交差して独自の文化を作り上げているのよ。技術も世界の中でも最高峰よ。まぁ、当たり前といえば当たり前だけどね。だけど、この国の1番凄いところはそこじゃないわ」
老女は自慢げに自国の事を話す。
そんな彼女の目は星のようにキラキラ輝いて、活き活きとして楽しそうだった。
私達はそんな彼女の話を聞き入ってしまった。
世界に吸い込まれるような感覚だった。
キラキラとした黄金世界。
道行く人々も私達が住んでいた人々とは雰囲気が全然違った。
なんというのだろう、高貴さというのだろうか。
凛々しさとも言えるかもしれない。
そんな、都会特有の雰囲気を彼等彼女らは纏っていた。
「このアクロポリスの1番凄いところは、魔術よ。アクロポリスの技術は、魔術を応用した『魔法科学』が1番発達しているのよ」
駅の外へ出て、光が私たちを覆い尽くす。
世界が拓ける——
目の前は緑で一杯だった。
しかし、それは植物ではない。
『ナノプラントプログラム』——最新のナノテクノロジーに魔法技術で植物の効用を維持する技術。
つまり、最新の科学技術に光合成、自己複製の技術を魔法技術を用いて応用する。
この技術はもはや、アクロポリス独自の最新かつ最高のオリジナルの技術である。
この『ナノプラントプログラム』の製造方法、プログラム方法は非公開を貫き通している。
この事実は非公開にしないといけないほど、この技術は世界に大きな影響を与えるとアクロポリスの官僚や技術者は考えている証拠でもある。
そして、この技術は恐らく永遠に公開されることはないであろう。
しかし、そのお陰でアクロポリスは独自の社会、文化を構築する事が出来た。
『ナノプラントプログラム』あってこそのアクロポリスである。
この技術があるからこそ、現在進行形でこの街は進化しているのだ。
プログラムに従って自動的に進化、発展していく街『アクロポリス』。
それを目の当たりにすると、その技術の高さをヒシヒシと感じることが出来た。
そこはまさに未来都市と名付けるのに相応しい場所であった。
さすが、世界最高峰の『魔法技術』を誇る都市である。
空中道路を走る魔法使い見習い達、都市ならではの芸術家達が構想した高層ビル。
街の中を歩くエルフやドワーフ、獣人など様々な人種の人々。
世界でも移住国家としても名高いアクロポリス。
異国の文化、人種、思想、技術——
様々なモノが交差し、複雑に絡み合い、1つのあるべき終着点へと辿り着こうしている。
それがいつなのかは分からないが、今では無い。
しかし、この街は着実にその終着点までへの道のりを辿っている。
ルーサーさんは街の中へ足を踏み入れ、人の中に入って行く。
私達もついて行く。
街の中は列車の窓の中から見た光景のように色鮮やかで、キラキラと光っていて、虹の中にいるかのような幻想的な風景だった。
7色の蛍光色をした飾りが街の中に溢れている。
人が入りそうな程の泡が空中に浮かんでいたり、店の前では、透明なクリスタルが蛍光を発していたり、と科学と魔術が交差する街アクロポリス。
この場所で何かとても大切なものが見つけそうな、見つかりそうな気が私はしていた。
高揚感に駆られて気が高ぶっているだけかもしれないけど、これから起こる出来事を私は楽しみに感じていた。
身体中からエネルギーが、生命力が漲ってくる。
しかし、これは『国家試験』があるからではない。
未知への遭遇——。
知的好奇心——。
そんな知的で開拓的で情熱的でフロンティアな精神が私の心を支配していた。
これから始まる1週間は世界でも有名な『国家試験週間』なのだ。
世界の中でも大都市中の大都市が総出で上げる祭りなのだ。
この時を楽しまずにいつ楽しむというのだ。
そう思うと、自然と口の端が上がった。
いかがでしたか。
今回の未来都市の描写は、「未来都市」とか、「未来都市 構想」とかググって色んなイラストとかを参考にしましたww。
引き続き読んで頂けたら嬉しいです!