一章 良き個性を持つ仲間
強みは俺の敵であり、仲間だ。そう思う様になってから、俺は変わった。そう、これは、俺が神と謳われるまでの物語。その全てを今俺自ら語るとしよう。
「ヤバい!本気でヤバい!」
俺はその時、大学二年生だった。なんの変哲のない日だった。
「もう10時は聞いてねぇぞ!」
俺は寝坊をしてしまい、あと数十分で遅刻という境地に陥っている。家から大学まで1320m。俺の足だとギリギリという結果だ。それでも俺は諦めなかった。でも、その時、諦めていればこんな事にはならなかっただろう。
俺はギリギリチャイムが鳴る前に教室に着くことが出来た。残り23秒。やはりギリギリだった。俺は席につき、授業の準備を整え、本を読んでいた。ここまではいつもの事だ。遅刻しかけたこと以外。
「次の授業は技術。確か今日は技能テストだったよな。」
俺には友達という仲間がいないため、一人で解決を済ませる。
チャイムが鳴り、少しノートに先生の話をメモし、テストのため、グラウンドに出た。俺の人生が変わったのはここからだ。
先程とは外の明るさが違う。少し赤暗い。風も強くなっている。そこで、俺はある事に気が付く。太陽が月に変わっている。しかも、bloodMoonだ。有り得ない。今は朝の10時半だというのに、月がでてる。それにかなり珍しいbloodMoon。やはり何かがおかしい。周りのみんなをみる。皆パニック状態だ。
この場の分析をしていると、声が聞こえてきた。しかも、一箇所からではなく、四方八方から。
「貴様らは能力を我々神から授かるのだ。喜べ人間。」
「い、意味がわからない!どういうことだ!」
一人の男性がそう叫ぶ。神とやらは答えた。
「理解がまだできないとは、やはり人間は弱い。」
「・・・・・・・つまり、俺達に、神の力を授ける。ということか?」
俺は答えた。神は少し驚いた声を出す。
「ほう?お前は周りにいる虫螻とは訳が違うな。いいだろう。貴様には、我ら神が到達しえない能力を与えよう。だが、我ら神ですら到達しえない力だ。貴様にこの力を制御出来るかな?」
「まぁ、俺が貰った個性だ。俺がやらなきゃいけない。」
そこから間を空け、言い放った。
「俺は守蛇 龍神。今まで出来なかった事が無かった男だ。その力も制御しきってやるぜ!」
「よく言った。貴様きっと、我ら神に匹敵。いや、超える存在となるだろう。」
神はそう言い、光を放ち、消え去った。俺達は目を瞑った。そして目を見開くと、そこはいつものグラウンドだった。
皆はポカンとした顔をして瞼ピクリとも動かない。能力が与えられたのなら、使い方が分からないな。どうすれば良いのだろう。
『感覚だよ。』
「!?」
誰が直接脳内に話しかけてきた。
『誰だ!』
『おぉ。普通の虫螻なら声に出して返事を返すのに。やはり貴様にこの能力を託して正解だったな。』
『で。感覚ってどういうことだよ。』
『ふ。貴様なら分かるはずだ。血を勢い良く全身に巡らせる感覚を貴様は知っているはずだ。』
こいつ。俺の過去を知っている。どういうことだ。
『おい。我らは脳内で会話するから思っていること全て分かるぞ。』
『・・・・・・厄介だな。』
『おい!そりゃあどういう意味だ!』
『うるせぇ。自称神。ちっと黙ってな。』
神にこんな言葉使いしたら怒られるだろうなと神に言い、能力を引き出す。
「ふ、ぐ、うぁ、ぐぅぁぁ、い、あぁぁぁ、ぐあぁぁぁ!」
少し手荒でわあったが、多少は出来た。
『なにか、右手に違和感があるな。』
「!!!」
そこで俺が見たのは。化け物化した右腕だ。爪は長く、肩まで鱗で覆われていた。
『まぁ。最初はこんな感じだろう。全身にするには少し時間がかかるようだ。』
『こりゃあ良い能力を授かったもんだ。』
『ちなみに、自分で想像した者になれる。今はドラゴンだな。』
この短時間で右腕を全て変えることが出来た。このまま行けばすぐに全身変化を出来るかもしれない。
改めて周りを見回すと、皆能力を手にしたようだが、俺を見て、恐怖の表情を浮かべる人もいた。
『やはりこうなるか。所詮虫螻は虫螻だな。』
「それはちと違うかな。」
神は疑問を持ったように間の抜けた声を出す。俺は分かる。この中には、恐怖ではなく、怒りを浮かべる人がいると。
『怒り?どういうことだ?』
『ここにいる皆は、俺含めて皆龍のせいで家や親を潰された。俺だってそうだ。だから龍を最初に思い浮かべたのさ。』
『龍か。我も一度手を欠けさせられた。』
『強かったのか?』
その疑問に神は笑う。
『数が多かったからな。まぁ、たった50万匹だったから、ざっと40分くらいで終わったがな。』
『ご、50万匹を40分だと!?それはお前一人で相手をしたのか。』
『当たり前だ。』
流石は神だ。そのくらいは他愛ないと言ったところだ。
『そ言えば。この腕どうやって直すんだ?』
『簡単さ。血を一度止めるんだよ。』
「・・・・・・・・・は?」
意味が分からない。血を止める。
『まぁ言わば血管を一度切断して戻すんだ。』
『そう言いことか。』
俺の察しの速さに神は笑う。喜んでいるようにも、尊敬してもいる。
『そうだ。この個性は想像で全てが決まる。という事は?』
『想像で血管を切断して想像で修復したことをイメージしろってことか。』
俺はそれを試す。血管切断をした時は痛かったが、修復イメージで痛みはすぐに消えた。
「やはり、良い個性だな。これ。」
『じゃあ。ここに居る35人と戦ってみな。』
『はい!?』
俺は周りをみる。皆殺意むき出しで個性を発動して俺を睨みつけている。
「はぁ。めんどくせぇ。殺るしかねぇか。」
俺はそう言い、戦闘モードになる。
「さぁ!誰からでもかかってこい!」
そうして、俺の変わった人生が一から始まった。
俺は個性を発動する。次は先程より力を入れて。
「良し。両手だけで十分だろ。」
「ふ。いい気になってんな。少し良い個性が貰えただけで。俺達を舐めるなよ!」
叫んだ男の個性は炎。序盤は簡単に終わりそうだ。
炎は円を描き、熱を放つ。俺は龍の両腕を振り、簡単に炎をかき消した。その直後、炎が自分目掛けて勢い良く向かってくる。それを左腕で受け止め、敵の懐に入り、右手で相手の頭を破壊。首から上が無くなり、血が吹き出る。俺は返り血を浴びた後に言った。
「次は誰だ?」
俺の目は殺戮者同然の目だ。
「なら次は私が。」
敵は女性。個性はカウンター。かなり厄介な個性だ。なら、カウンターが出来なくなるくらいの勢いが付いた攻撃をすればいい。
俺から攻撃を仕掛けない限り相手は動けない。俺は円を描くように走る。相手が戸惑いを見せた途端打ち込む。
予想通り相手は戸惑いを見せる。俺はその隙を逃さずカウンター出来なくなるくらいの力で横腹を弾いた。相手は行動が遅れ、腹部分が円柱に抜け、上・中・下に体が別れた。血が吹き出し、それを龍の腕に浴びさせた。
「!!!」
龍の腕は変化が起き、刃が出来た。敵への攻撃がパンチではなく切り裂きになった。殴ることも出来る。
「やはり良い個性だ。」
次の敵は男性。個性は重力。重力を自由に操れる個性だ。左腕を人の腕に戻し、左脚を龍の後ろ脚に変え、一瞬の内に後に回り込む。斜め右から刃で体を切る。既に全身は血に染まり、悪魔の眼を出す。敵は残りの全員で襲いかかる。
一分も経たない内に敵は全滅。地は死体だらけだ。
『これは流石にやりすぎじゃないか?』
『後処理は少し大変だが、すぐ済むだろう。』
俺は地に転がる死体を片付け、掃除をした。闘いより時間はかかったが、問題は無い。
『それじゃあ。仲間を探しに行くか。』
『仲間?』
『そう、仲間。』
要らないと思ったが、一応神の言うことを聞く。俺は背中に血を貯め、一気に放出した。赫黎い《あかぐろい》翼を広げ、空へ飛び立つ。
「なんて涼しいんだ。」
これが空を飛ぶ者の気持ちか。良いもんだな。
『さぁ、急ぐぞ!時間は有限だ!』
『神が何言ってんだよ。』
そう文句を言い、急いだ。
軽く五分飛び続けていた。下を見ながら。別の学校に取り敢えず着地。すると突然男は目の前に現れた。
「誰だ。お前。それにその背中と右腕と左腕。何者だ。」
男はそう言うと戦闘体制に入る。
「待て、俺は怪しい人間じゃない。」
今の俺の姿は人間とはかけ離れたものだが、そんなつまらないことを気にしている場合ではない。
『ヤバいぞ。こいつ。完全に話を聞こうとしていないぞ。戦う気だ。』
『ち。仕方ねぇ。ちと気絶させるか。』
俺は一度全てを人間の体に戻した。腕を変えず、血を右手と左足に集中させて、一瞬で間合いを詰める。俺は項の少し上目掛けて右手を放つ。
『取った。』
『いや、これは。』
神は何かに気づいた。俺はそれを察した時にはもう殴られていた。
「タイムstop。」
相手は自分の個性を言った。
「イマジネーション」
俺も自分の個性を言った。時間を止める個性。なら。時間を超越する。
『辞めろ!お前は普通の人間なんだぞ!そんな事をしたらお前は死んでしまう!』
『・・・・・・・・・・俺を信じろ。』
神が心配するのは分かる。でも、今の俺に考えている暇は無い。
「行くぞっ」
時間を止められる。やるしかないんだ。俺が出来るのはこれが限界だ。
「やる・・・・・・しか・・・・・・ないん・・・・・・だ!」
「何?!俺の時間軸で動けるはずがない!お前、一体何者だ?!」
「ふつ・・・・・・うのに・・・・・・んげん・・・・・・だー!」
『有り得ない。普通の人間がこれまで力を発揮するとは。面白い奴に出会ったものだ。』
俺は気合いを出し、相手の首裏目掛けて右手を振り下ろした。見事命中し、相手は気絶した。2分ほどは起きない。
「起き上がったら名前を聞くか。でも、こいつの顔。何処かで見た事があるような。どこで見た顔だ。」
まぁ、良い。先程から神は黙り込んでいる。どうしたのだろうか。
『おい、神。大丈夫か?』
『ん?ああ。大丈夫だ。』
怪しい。
俺はそう感じながら相手を校舎に運び入れた。
相手は目を覚まし、俺を見て座り込む。
「お前、名は。」
「聞くなら先に名乗りな。」
俺は相手にそう言い返すと相手は名乗りを挙げた。
「俺は守蛇 止時。」
「守蛇・・・・・・だと・・・・・・」
俺と同じ苗字。俺には弟が居たが行方不明だったはず。何故ここに。
「あんたの名は。」
「俺は・・・・・・守蛇 龍神。」
「!!!」
相手・・・止時も気づいたらしく驚きを隠せなくなっていた。
『ほう。兄弟ということか。』
「何故、兄さんがここに。それにその個性。誰から貰ったの。」
「この個性は神から貰った。お前も、同じだろ?」
良い個性。止時も神に認められたってことか。まさか、こんな形で止時に出会うとは。
『嘆いているのか?』
『違う。少し、悲しいだけだ。』
悲しみ。これが感情。あの家族を失った日から胸が痛むほどの悲しみはなかった。
「仲間探しを手伝ってくれないか?止時。」
俺は止時に頼んだ。反対覚悟で頼んだ。止時は口を開いた。
「分かった。手伝うよ。兄さん。」
止時は涙を流していた。
「どうして涙を流しているんだ?」
「嬉しいんだ。こうして兄さんに出会えて、兄さんから頼み事を言ってもらって。」
止時の言葉に俺は目から熱い液体を流した。何故涙が流れるのかは分からない。でも、少し嬉しい。
「さぁ、行こう。兄さん!」
止時は涙を流しながら俺にそう言った。
「あぁ、行こう。止時!」
俺は涙を拭い。弟を抱え、空へ飛び立った。
投稿日は予定無し。いつ二章が挙がるかは分からない。気になる人は気長に待つべし。




