懺悔の物語
※同掲載しております大災害 僕が生きると誓った日 という短編の転載になります。
内容は全く同じですので、ご覧になられた方はお手数ですが二章までお飛び頂く事を推奨いたします。
第一章から遡ること約十二・三年前。
アドラスシア・ネセサリウム地方が突如地図上から姿を消した。後に大災害と呼ばれる未曾有の大事故だった。そこいら一帯は焦土と化し生命の一匹も残らず消え去った。
しかし、唯一の生存者とされる少女がいた。彼女の名前はユユ・シルフウィード。
何故彼女は生き残ったのか、何故大災害が起きたのか。
そして、彼女を影で支えた。
一人の青年の物語。
*
紫で透明で巨大な魔晶石に鎖で縛り付けられている裸の女性。彼女達は魔導兵器の原動力として、生きたまま戦争の道具にされている。
捨駒のように切り捨てられる兵士。彼等の尊厳などまるで無いかのように味方が死体を蹴り、踏みつけながら進行する。
穏やかな生活がある一方で、こんな世界が延々と国の間で繰り返されている。
この世は糞だ。
下らない言い伝えに盲目的に従い、迫害する人間も糞だ。だから僕はこんな世界にはいたくない。
「僕なんてあの時死ねばよかったんだ……」
そう言った時に見せた彼女の切なげな表情と、ビンタの痛みと、頬に添えられた手の柔らかさと、重ねた唇の甘さを今も忘れない……これは、僕の懺悔の物語だ。