第9話 さっそく相談
この喫茶店に来てどのくらいの時がたったのだろうか。
二人の会話は途切れては盛り上がり…。みたいな感じを繰り返している。
優紀さんは優しい笑顔を浮かべながら俺を見ている。この笑顔は真実の笑顔なのだろうか?
ふと気になった。
「どう、ここのチーズケーキおいしいでしょ?」
「あっはい。おいしいです!」
「でしょ?マスターもっと自分の店を宣伝すればいいのに…」
「ですよねぇ…」
それにしても、優紀さんが言ってるように他の客がまったく来ない。
こんな調子でこの店の経営は大丈夫なのだろうか?
俺はマスターのことが少し心配になった。
「哲雄君!さっそく相談してもいい?」
少しの沈黙のあと、優紀さんが話を切り出してきた。
「あっはい。言ってみて下さい」
「ありがと。実はね……。一緒に四つ葉のクローバーを探してもらいたいの!」
「えっ!?四つ葉のクローバーですか?」
まるで予想してなかった相談事だ。
俺はついそう聞き返してしまった。
「そっ!四つ葉のクローバーよ。あなた四つ葉のクローバーの都市伝説くらい知ってるわよね?」
「見つけたら幸せになれるっていうやつですよね」
「その通り。ちなみにね四つ葉のクローバーの4枚の葉っぱはそれぞれ希望・誠実・愛情・幸運を象徴しているらしいの。私、前から探してるんだけどどうしても見つからないのよ…」
四つ葉のクローバーはたしかにそう簡単に見つかるものではない。それに最近、クローバー自体をあまり見ないような気がする。
「あのね、東緒海公園ってあるじゃない。今度、あそこで四つ葉のクローバー探しをしようと思うの」
「あ…。たしかにあそこなら四つ葉のクローバーあるかもしれませんね」
東緒海公園は遊歩道も整備されている比較的大きな公園だ。俺の家からそう遠くはない。
「それじゃ決まりね。来週の日曜日の午前10時に公園に来て。私、入り口の所にいるから」
「わかりました。でもどうして四つ葉のクローバーが欲しいんです?」
「どうしてと思う?見つけてくれたら教えてあげるわ」
「あっ…。そうですか。頑張ります」
優紀さんと一緒に公園で四つ葉のクローバー探し。
どうせなら、一緒に遊園地とかに行きたかった。
俺は心の中でそう一言つぶやいた。