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第28話 不意に登場

キーンコーンカーンコーン!

テストの終わりを知らせるベルが教室内に鳴り響く。

「よし、終わり。後ろからテスト用紙集めて」

イスに座って居眠りしていた森永先生はベルの音に驚きながらもそう言った。


「はぁ…。終わった…」

俺は静かにシャーペンを置いた。

歴史と保健体育は赤点ではないだろう。

でも…。

今終わった英語は致命的だ。

空欄が何ヵ所もある。

恐らく赤点だろう。

でも終わったことだ。

仕方がない。

そう自分に言い聞かせた。

周りを見渡すとクラスのみんなはぞくぞくと帰っていく。

「よし、そろそろ行くか」

カバンに筆記用具を素早く入れて、俺は席を立った。


***


みんなが帰る流れに逆らいながら、職員室へと急ぐ。すれ違う人の顔は明るかったり暗かったり人それぞれだ。

でも心なしか明るい顔をしている人が多い気がする。それもそのはずでこのテストが終われば冬休みが待ってる。

だから、みんな冬休みの予定を今から考えているのだろう。

俺は…。どうしよう?

優紀さんがイギリスに帰ったら俺は一人だ。

好きな人が遠いところにいるというのは、とても寂しい。

だからこそ帰る前に想いを伝えたい。


でもその前に知りたいことがある。


それは北山先生が前に言ってた「誤解しててすまなかった」の真意だ。

結局、優紀さんに聞いても教えてはくれなかった。

だから、もう一度北山先生に聞いてみたくなった。


***


職員室の前へ立ちドアを開ける。

残念ながら中には北山先生はいなかった。

近くにいた吉見先生に聞くとさっき図書室に行ったそうだ。

そういえば忘れてた。

北山先生は読書好きだったのを。

焦りを覚えた俺は早足で図書室へと向かった。


タッッ…。タッッ…。タッッ…。

図書室に続く廊下に足音が響く。

テスト期間中ともあり、ここまでくると他の生徒をあまり見かけなくなった。


ガラララッッ…!

勢いよく図書室のドアを開ける。

そこには数人の生徒と共に北山先生がいる。

それと…。ん!?優紀さん!?

二人は何やら話し込んでいる。


「ん…。あら!哲雄君!偶然ね。あなたもここに来たのね」


俺のことに気がついた優紀さんは少し驚いた表情でそう言った。


そして、続けてこう言った。


「やっと主役が揃ったわね」と。


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