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第25話 伝えたいこと

「ゆ、優紀さんがイギリスに帰るってどういうことなんです??」

突然のマスターからの知らせに俺は驚きを隠せずにいた。

そもそもなぜ優紀さんはイギリスへ帰るのだろうか。 そこがまずわからない。


「おぉ、君はやっぱり知らなかったのか。たしか彼女は12月26日に帰るのって言っておったぞ。正月はイギリスにおる家族と過ごすそうな」


「で、その後日本に帰ってくるんですか?」

俺は身を乗り出しながらそう質問した。


「う~む、それはわからん。でも家族は皆イギリスにおるからの。もしかしたらもう戻っては来ないんじゃないかの」


「はぁ…。そうですか…」

なかなか真相が見えてこない。

本当に優紀さんはイギリスに帰ってしまうのだろうか。

でも、マスターが嘘をついているとも思えない。

やっぱりここは本人に直接聞くしかないのだろうか。


「彼女が帰る前に伝えたいことがあるんじゃろ?」

不意にマスターは俺にそう問いかけてきた。


「伝えたいこと…。ですか?」


「そうじゃ。あえて詳しくは聞かんがな。でもひとつだけ言っておくぞ。後悔だけはしないようにな」


***


「今日はありがとうございました。コーヒーおいしかったです」


「それは良かった。またいつでも来なさい。ワシはいつでも大歓迎じゃ」


マスターに見送られて俺は店を後にした。


日が沈みすっかり閑散とした駅前通りを歩く。

12月の風はとても冷たかった。

もし優紀さんがイギリスに帰ってしまうとしてもどうしてその事を話してくれなかったのだろうか。

そんな言葉が脳裏を過る。


マスターが俺に問いかけてきた「伝えたいこと」

もちろんある。


俺は優紀さんのことが好きなのだ。


でも彼女は俺のことをどう思っているのだろうか。

ただの相談相手みたいに思ってたらなんだか悲しい。

自宅までの帰り道、俺はそんなことばかり考えていた。

でも、考えてばかりじゃ何も始まらない。


行動しないと結ばれる可能性すらないのだ。


「よし、やってやるぞ」

俺は拳を強く握り締めた。


まずは直接優紀さんに聞いてみよう。


「本当にイギリスに帰るのかどうか」を。


そう思った瞬間、俺はポケットから携帯電話を取り出した。


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