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第22話 祝福の行方 後編

「あっ!」

その瞬間、俺は思わず声が出た。

さっきまで元気に動いてたクレーンが動かなくなったのだ。

ガチャガチャ…。

操作レバーを動かしてみる。

駄目だ。動かない。

クレーンはテディベアを掴んだまま止まっている。

「これって…。故障?」

不安そうな目で優紀さんが俺を見る。

「故障…。ぽいね」

俺は声のトーンを少し落としてそう応えた。

なんてことだ。

まさかこのタイミングでUFOキャッチャーが壊れてしまうとは。

「店員呼んでこようか?」

この硬直した状況を見かねて吉田がそう口を開いた。

「あぁ…。頼む」

俺は吉田に一言そう告げた。



結局、その後店員の修理によってUFOキャッチャーは復活した。

そして、もう少しで取れたということもありテディベアも手に入れることができた。

でも、なんだろう。

やっぱり、そこは自分の力で取りたかった。

最後まで自分一人の力で取りたかった。


なんだか少し悔しい結果になった。



「なんで落ち込んでるの?テディベア取れたでしょ?」

吉田と別れた後、優紀さんが俺にそう聞いてきた。


「たしかに取れたけど…。最後まで自分の力で取りたかった」

俺は下を向きながらそう応えた。


「そんな小さなこと気にしないでよ。それに久しぶりのゲームセンター楽しかったわ。また来ようね。ゲームセンター。緒海神社より楽しかったわ」

嬉しそうな笑顔を見せながら優紀さんが俺にそう言った。


でも、神社とゲームセンターは根本的にジャンルが違うような…。

そう思うとなんだか少し可笑おかしくなってきた。

まぁ、優紀さんが楽しめたのならそれはそれで良かった。

次こそカッコいい所を彼女に見せよう。


俺はそう心に誓った。


夕陽に浮かんだ二人の影はなんだか寄り添うような形になっていた。


また1つささやかだけど、大切な二人の思い出ができた。


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