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第13話 秋の邂逅~俺が鈍男になった理由~前編

夏が終ると秋が来る。


そうやって季節はまわる。


それがこの国に住む人々の常識。


だから俺は生きる…!?


ん…??


だから…飛ぶ…!?


飛ぶ…??


なんで俺は空を飛ぶんだ…??


実は背中には翼がついてる…!?


いや、ないない…。


「あぁ~!詩を書くのって難しいなぁ!!」

そう言いながら俺は書き途中の原稿用紙を丸めてゴミ箱に捨てた。

何か趣味を持とうと思い詩を書き始めたのだが、なかなかうまく書けない。


文字で自分がもつ世界観を表現する。


簡単なようで意外と難しいことだ。

でも、何事も練習あるのみだ。

もうちょっと本を読んで日本語の表現力を高めよう。

俺は自分にそう言い聞かせた。


ふと時計を見ると時刻はそろそろ昼過ぎ。

本来なら俺は学校にいなければいけない時間帯だ。

でも、今日は祝日で学校は休みだ。

休みなのはとても嬉しいことなのだが、俺は正直言って時間をもて余してした…。


そういえば、あの公園での出来事から3カ月が経過した。

夏休みは優紀さんと過ごせたらいいな。

この俺の希望は彼女の次の一言によって脆くも崩れ去った。


「ごめんなさい。私、夏休みはイギリスへ短期留学に行くの」


なんでも、語学力を高めるためなのだそうだ。

留学って…。なんだか、カッコいいな。

その話を聞いた時、素直に俺はそう感じた。

だから俺の今年の夏休みは、去年と同じようななんの刺激もない平凡な日々を過ごして終わった。


なんだが10月に入って余計に寒くなったような気がする。

窓から見える外の風景も秋の色合いを帯びてきている。

「秋かぁ…」

ため息混じりの一言を発した後、俺は外の景色を見つめる。

秋といえば、過去に起きたあの「出来事」を思い出す。

この出来事は俺が鈍男と呼ばれるようになった決定的な遠因にもなっている。


未来を決めるのは過去なのか?


それとも、現在なのか?


正直、今の自分にはどちらなのかはわからない。

でも、ひとつだけ確かなのは「今を大切にしたい」ということだ。


気がつくと俺は過去のことを思い出していた。


ゆっくり…。ゆっくりと…。


静かに眠りにつくように…。


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