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 冒険者ギルド規約


 ~~中略~~


 署名した時点で規約に同意したものとみなす。




「……」


「……」


「略しすぎじゃね?」


「手抜きすぎですね」


「かいつまんで言えば、依頼、クエストに失敗した場合は受注金額の一割が罰金として課せられますので、気を付けて下さい。 また、クエスト失敗が累積3回で1ランク降級します。

 降級した時点で累積はリセットされますし、昇級時も当然リセットされます。 特別な事情がない限り、これは、病気やケガとかですね、特別な事情がない限り、最低でも二か月に一度はクエストを受注して下さい。 受注しなかった場合は、警告としてクエスト失敗の累積に加算されます。 警告が3回でギルドから追放され三年間は再登録できません。 

病気やケガの程度が重くて半年以上ギルドに報告できなかった場合は1ランク降級での復帰を認めます。

あと、ギルド員同士のいざこざにギルドは関知しませんので、当事者間で解決して下さい。 

緊急時にギルド支部長権限によりDランク以上の冒険者は招集される事があります。 特別な事情がない限り、この招集を拒否する事は出来ません。 これを拒否した時は、最も重い処分では最悪ギルドから追放処分となります。 以上、こんなところですね。 質問はございませんか?」


「三行でおk」


「箇条書きで書いてあるのを見た方が分かりやすいですかね?」


「それは失礼しました。 質問はございますか?」


「はい! 先生、ギルド員同士のいざこざって、どんな事が多いですか?」


「そうですね、倒した魔物の素材の分配を巡って揉めるのが一番多いですかね? それで殺し合いにまで発展する事もあります。 自分から仕掛けて相手を殺した場合は、当然犯罪者になりますからギルドから永久追放されます。 それと、クエスト素材の横取り、この場合はギルド員同士のいざこざには含まず

に、ギルドに報告してもらえれば、こちらで適切に処理します」


「素材の横取り?」


「ええ、たまにいるんですよ。 下位ランクの人が苦労して取った素材を、上位ランクでガラの悪い連中が脅して横取りするんです」


「なるほど、それは犯罪だね」


「あと、質問はよろしいですか?」


「いいのかな?」


「私が記憶しましたから、リリーは心配しなくても大丈夫ですよ」


「なんか、私がどんどんお馬鹿なキャラ路線に走っている気がする」


「気のせいですよ?」


「よろしければ、こちらに記入と最後に署名をお願いします。 それが終わりましたら、プレートに血を一滴垂らして完了となります」


「え~と、どれどれ」



 名前:


 種族:


 年齢:


 性別:


 所属:


 特技:




『ご主人様、聞こえますか?』


「うおっ!」


「どうされました?」


「い、いや、昔の古傷が……」


『昔の古傷って…… 念話です、私をイメージして話し掛けてみて下さい』


『えりか、エリカ…… こうかな? 聞こえる?』


『はい、聞こえました。 種族ですけど、神狐族では不味いですから、スキル【隠蔽】を使って狐人族にして下さい』


『ふむ、やってみる。 『隠蔽』』



 名前:リリー・マルレーン


 年齢:17歳


 性別:女


 種族:神狐族→狐人族 変更しますか? Y/N




「いえすで、ポチっとな」


「リリーさん?」


『声に出てますよ!』


「い、いや、この所属と特技は、どうしたらいいのかな?」


『ごめんちゃい、慣れてないから、ついつい独り言が、、 種族変更できたよ!』


「所属はリリーさんの住んでいる場所か、または此処、ハージマリ支部での登録ですから、ハージマリでも大丈夫です。 特技はリリーさんが冒険者として活動する時に、使うであろう得意な技能ですね。 持っている特技によってクエストの依頼を頼む場合がありますので、ギルドとして把握して置きたい事柄なのです。 もっとも、Dランクで稀にある程度で、主にCランク以上での依頼になりますけど」


「なるほど、分かりました」


「特技かー 私ってなにが得意なんだろ?」


「私は、魔法ですね」


「エリカさんは魔法が使えるのですね?」


「私も使えるよー」


「リリーさんもですか!?」


「クララさん、私が魔法を使えるのが以外そうって言い方に傷付くんですけど……」


「す、すみません、魔力を持っている人は10人に1人程度ですから、お二人とも魔法が使えると聞いてつい…… 失礼ついでに、お聞きしますけど、その魔法は魔物を倒せるレベルに達していると考えても、よろしいのですね?」


『エリカどう答えようか?』


『私に任せて下さい』


「ええ、一応は、私もリリーもホーンラビットくらいでしたら、梃子摺らずに倒せる、そんな程度ですけど」


「それでも凄いですよ! 私なんて火打石代わりが精々ですから。 このギルドカードに魔力を流し込んだミラちゃんは、魔力はそこそこあるみたいですが攻撃魔法はさっぱりですしね」


「クララー、なんか言った?」


「げっ な、なんにもー」


「聞こえてるよー 今晩、エール一杯クララの奢りね」


カウンターの奥からミラがジト目でクララを見遣って言った。



「ミラちゃんが、獣人顔負けの地獄耳なのを忘れてた……」


「もう一杯奢らすよ?」


二人のやり取りを面白く思い、カウンター越しにミラを見て鑑定するリリーとエリカ。



 名前:ミランダ


 年齢:22歳


 性別:女


 種族:普人族


 職業:冒険者ギルド職員


 称号:【地獄耳・小】


 従属:ウィンザー王国ヨーク公爵領ハージマリ所属



 ステータス


 Lv:8


 HP:321


 MP:185




「称号だ」


「スキル名みたいな称号ですね」


「?(また二人して変なこと言ってのけど、考えるのは止そう) えと、続きですけど、話を聞く限りにおきましては、お二人の魔法は最低でもDランク以上の実力がありそうですけれども、冒険者稼業に慣れるまでは取り敢えず、周囲に魔法が使える事を言わない方が賢明です」


「ああ、なんとなく分かったような気がする」


「そうですね。 でも、治癒魔法が使える訳ではありませんので、そこまで心配するほどの事ですか?」


『ん? そういう設定なの?』


『話を合わせて下さい』


「甘いですね。 南方で取れるという高級白砂糖くらい甘いですよ?」


「やっぱ、砂糖は高級品なんだ」


「ええ、私も死ぬまでには一度でいいから食べてみたいものです。 じゃなくて、先ほども言いましたけど、魔力を持った人自体が少ない上に、攻撃魔法が使える人なんて、それこそ100人に1人居るか居ないかです。 お二人自身が稀有な存在だと理解して頂けましたか?」


「なるほど、私の考えが足りませんでしたね」


「クララさん砕けてきたね」


「調子狂いますよ。 もう普通に喋らしてもらいますから、 で、治癒魔法なんて以ての外です。 それこそ神殿に勧誘されますよ」


「治癒魔法は貴重なんだ」


「ええ、千人に一人居るか居ないかですから、攻撃魔法使いよりも更に貴重です。 それで、お二人の事ですけど、魔法が使える事が周囲にバレましたら勧誘の嵐を覚悟して下さい」


「うへー それは勘弁して欲しいな」


「そうですね、威圧でも使いますか?」


「威圧? 魔法で周囲を威圧できるんですか?」


「まあ、そんな感じです。 ちょっとやってみせましょうか?」


『へ? スキルにないのに、エリカ威圧なんてできるの?』


『普通に威圧するだけですよ? まあ、みていて下さい』


「こ、怖くないですよね?」


「優しくしますから、少し緊張する程度だと思いますよ? では、こんな感じかなっと 『最低レベルで威圧』」


「ひっ」


「ほう」


「エ、エリカさんストップストップ、やめて下さい!」


「こんな感じですね。 十分に抑えたつもりでしたけど、怖かったですか?」


「毛が逆立って、背中に嫌な汗を掻きましたよ~ 強面のダブルBクラスの冒険者よりも怖かったです!」


「それはすみませんでした」


「ふむ、私でも使えるのかな?」


「リリーは不器用ですから、此処ではやらない方がいいと思いますよ? というか禁止です」


「えー なんでー ぶうぶぅ」


「加減を間違えてクララさんを泣かしたら、どうするんですか?」


「リ、リリーさん、やめておきましょうか? ていうか、失敗しそうだからやめといて下さい!」


涙目になって、必死に両手を振りながらリリーを説得する生け贄のクララ。



「二人して酷い! エリカ、あとで教えてよね」


「それはもちろん、手とり足とり教えて差し上げます」


「いやらしく聞こえるぞ」


「気のせいですよ」


「し、しかし、今のは怖かったですよ、なにをしたんですか?」


「いえ、普通に威圧しただけですよ? ほら、目に力を入れて相手を睨むとか、高圧的な態度とか色々とありますよね?」


「それよりも怖く感じましたよー 魔法とは違うんですよね?」


「違いますけど、似たようなものとでも思っておいて下さい。 鬱陶しい相手以外には使いませんから、心配しなくても大丈夫です」


「分かりました。 それでは、お二人の特技は魔法ということで、お願いします。 使える系統を記入して下さい」


『エリカ、系統は何にしようか?』


『私は水にしますので、ご主人様は火でお願いします』


『りょうかーい、念話でもリリーでいいよ』


「書ける、私でも文字が「二度同じネタをするのはいかがなものかと?」 はい……」


書いたこともない未知の言語の文字をスラスラと書く二人であった。 そこ、ご都合主義って言うな。





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