表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/50

7

テクテクテク



「これまで、6人とすれ違ったけど、みんなレベル低いね。 やっぱりこれが、この世界のレベルみたいだな」


「そうですね。 保有MPも、0が4人であとの2人も50以下とは、想像よりも弱いですね」


「行商のおじさんが強く見えるよ、不思議だわ」


「行商は僻地の村とかまで行きますからね、危険と隣り合わせな職業です」


「町が見えてきたけど、門の所に守衛の兵士がいるな。 どんな感じかなっと、鑑定」



 名前:ヨハン


 年齢:38歳


 性別:男


 種族:犬人族


 職業:中級兵士


 称号:


 従属:ウィンザー王国ヨーク公爵領ハージマリ所属



 ステータス


 Lv:19


 HP:669


 MP:0




「獣人ですね。 レベルも、いままでの中では一番ですね」


「うむ、やっと第一獣人発見! ファンタジーっぽくなってきたね!」


「ここら辺は普人が多い土地ですから」


「そうなんだ、そこらへんの事はゲームの時には、気にも留めなかったな」


「レベルが上がったらハージマリなんて来ませんからね」


更に歩いて二人は、町の入口に到着した。



「こんにちは~」


「こんにちは」


「おう、こんな田舎で狐の獣人とは珍しい。 俺っちは長年門番をやっているけど、この町で見るのは初めてだな」


「この町以外では見たことあるんですか?」


「おうよ、領都で昔2,3回見た事があるな。 狐族は、あまり自分の土地から出ない種族だからな」


「私って、変り者だったんだ……」


「いまごろ気付いたのですか」


「はっはは、そっちの普人のねーちゃんも狐ちゃんをいじめなさんな。 見たところ姉妹って感じではないよな?」


「従姉です。私の母が狐族から普人の父に嫁ぎましたので、私は一応ハーフなんですよ。 だから、このとおり」


ポンっとエリカは狐の獣人に化けてみせた。



「ほうほう 狐が人化できるってのは本当だったんだな! いやー いいもん見せてもらったわ!」


「いえ、これくらいお安い御用です」


ポンっと人間の姿に戻ってみせた。



「変身できるのなら大丈夫だと思うが、もしマーロ教国に行く事があれば気を付けな」


「もしかして、テンプレきた?」


「ええ、テンプレですね」


「テンプラ? なんだそりゃ?」


「いえ、狐族の方言で、お約束って意味です。 マーロ教国は所謂、普人至上主義ってヤツですか?」


「その通り、あの国の普人は俺ら獣人を亜人とか言って見下しているからな。あの国に行く事は進めねぇぜ」


「わざわざ、ありがとうございます」


「同じ獣人だしいいって事よ。 それより、里から出てきたばかりで身分証がないなら、冒険者ギルドに入って身分証を作っといた方がいいぜ。 大きな街だと入る時に身分証が必要だからな」


「きた! 冒険者ギルドきた! 私の時代がきたっ!」


「ん? 時代がきた?」


「すみません、この子は少しオツムが弱いものですから」


「そ、そうか、まあ、色々と頑張れ」


「はい。 いろいろと、ありがとう「でしたー」ございました」


「おうよ! 気を付けてな」


こうして二人は無事にハージマリの町に入った。



「あのワンちゃん脳筋っぽい感じがしたけど、意外としっかりしていて親切でしたね」


「ワンちゃんって、確かにワンちゃんだけどさー それよりも、従姉って設定なの?」


「その場のふいんき、何故か「やらんでよろしい!」変換でき、 ごほん、その場のノリでなんとなく? でも、いい設定だと思いません?」


「まあ、悪くはないけど…… あと、変身。 あれを見せちゃっても大丈夫なの?」


「あれぐらいなら大丈夫ですよ。 ヨハンさんからは悪意は感じられませんでしたし、精々酔って酒場で零すくらいでしょう」


「そっか、エリカが言うなら大丈夫っぽいね。 というか、冒険者ギルドの場所って分かる? ゲーム時代にはなかったし」


「冒険者ギルドみたいに重要な施設は、大きな通りに面しているのが定石です。 ほら、100m前方のT字路の角っこ」


エリカが指を差した先には、盾を背に剣と杖がクロスする目立つ看板が庇の上に掲げられていた。



「おおっ あれが冒険者ギルドか! エリカ行くよー」


「建物は逃げ出しませんから、落ち着いて下さい」


喜び勇んで走っていくリリーを追いかけるエリカ。 ものの10秒足らずで到着して一言。



「便所の扉だ……」


「せめて、両開きって言いなさいよ」


「中世ヨーロッパ風の世界の中に便所の扉ってあり?」


「リリー、よく周りを見て下さい」


「ん? なんだか、チグハグなような……?」


「石造りと木造家屋が入り混ざってますから」


「中世ヨーロッパと西部開拓時代のミックス!?」


「中世ヨーロッパの街並みは、いまいち分かりませんけど、此処はこういう世界と割り切って下さい」


「むむむ」


「ヨーロッパにも多分、木造家屋ぐらいあったと思いますよ?」


「あったとは思うけどさー なんか納得いかない」


「納得して下さい。 ほらほら、冒険者登録しに行きますよ」


「う゛ー」


エリカに手を引っ張られて、冒険者ギルドの中へと足を踏み入れたリリーであった。



「ようこそ冒険者ギルドへ。 用件をどうぞ」


そう声を掛けてきたのは、猫獣人の二十歳前後の若い女性だった。



「ぬこたんかわゆす、ハァハァ」



 名前:クララ


 年齢:21歳


 性別:女


 種族:猫人族


 職業:冒険者ギルド職員


 称号:


 従属:ウィンザー王国ヨーク公爵領ハージマリ所属



 ステータス


 Lv:9


 HP:355


 MP:40



「リリーは大人しくしていなさい。 すみません、冒険者登録をしたいのですけど、この子と私の二人とも」


「は、はい、分かりました。(狐の子の目付きが怖い気が) 登録料として一人あたり30ベニー掛かりますけど、よろしいでしょうか?」


「ベニーというと銅貨ですね?」


そう聞きながらエリカは銀貨を差し出した。



「はい、1シルバお預かりします。(ベニー銅貨を知らないなんて、良家のお嬢様かしら?) 40ベニーのお返しになります」


疑問に思いつつも、受付の猫獣人女性クララは、四枚の大きめな銅貨をエリカに渡した。



ここで、この世界の通貨についての説明。


鉄貨10枚→銅貨、銅貨10枚→大銅貨、大銅貨10枚→銀貨、銀貨10枚→大銀貨、大銀貨10枚→金貨1枚となる。

その他に、銅貨5枚分の中銅貨、大銅貨5枚分の小銀貨、銀貨5枚分の中銀貨、大銀貨5枚分の小金貨がある。

鉄貨はアイゼン、銅貨はベニー、銀貨はシルバ、金貨はゴルドと、それぞれ呼ばれている。 小銀貨と小金貨はシルバ、ゴルドとは呼ばない。


ちなみに、庶民が生活するには銀貨までで事足りる。 金貨などは家や馬車を買う時以外には必要ないのである。

それを踏まえると、リリーが持っている金額は、リリーとエリカが思っている価値より日本円で換算すると桁一つ多いのだが、まだ二人は知らない。



「なるほど、ベニーというのは銀貨の下の単位なのか、勉強になるな」


うんうんと頷いてみせるリリー。



「リリーは黙ってる」


「えー なんでー 私もやりたいー」


「そ、それでは、(やっぱり、お嬢様っぽいわね、着ている服も変わっているけど上品だし) 最初に冒険者ギルドの大まかな仕組みについて説明しますので、あちらの椅子に腰かけて少々お待ち下さい」


クララの中では、お嬢様が確定した二人であった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ