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 リリー商会店頭価格表


 ポーション改:1s25b 一日120本限定、お一人さま3本まで


 ミドルポーション改:5s 一日20本限定、お一人さま1本まで


 マジックポーション改:5s 一日20本限定、お一人さま1本まで


 毒消しポーション改:12s50b 一日10本限定、お一人さま1本まで



 ※薬草の採取状況により販売する個数が減る場合があります。


 ※商業ギルド会員は別途にて商談します。





「こうして一応は店も軌道に乗ったけど、商品のラインナップが寂しいよね」


「そうですね、ポーション系統の四種類しか品揃えが無いのは寂しいですね」



エリカが淹れてくれた紅茶を美味しそうに啜りながら、リリーは店頭に掲げられた価格表を見て呟いた。



「魔石も倉庫に腐るほどあるし、火打石の代わりに着火だけできる魔石とかを作って売ろうか?」


「それはいいアイデアですね」


「問題は、着火だけができる魔法を魔石に込められるか、それが問題かな?」


「さっそく試してみましょうか? 善は急げですよ」



リリーの言葉にエリカも同意して、魔石を作る運びとなったのであった。






「思ったよりも簡単に出来ましたね?」


「うん、チートまんせー どれどれ、神眼」



そう言ってリリーは魔石を摘まんで鑑定を掛けるのだった。




 着火の魔石 製作者エリカ・シュタインベルク


 火打石代わりに使用できる火の魔法が込められている魔石


 発動キー:「着火」


 終了キー:「消火」


 使用回数:一度につき、2秒使用で約500回の使用可能





「ふむふむ♪ なるほど」


「でも、このままでは使いづらいですね、小指の爪ほどの大きさの魔石を摘まんでキーを唱えるのは」


「それもそうだね、いっその事、ライターみたいな形の魔道具にしちゃったらどうかな?」



エリカに使いづらいと言われて、リリーはライター形式の魔道具を提案するのであった。



「なるほど、手に握ってボタンを押してる間だけ、火が出る仕組みにすればいいのですね」


「握る場所の材質に何を使うかも考えないとね」


「鉄ではダメですかね? 錬金を使えばプラスチックも作れると思いますけど、この世界では違和感が半端ない気がしますよ?」


「そっか、ジッポも金属なんだから、鉄にしようか?」


「では、材質は鉄で先端に魔石を嵌め込む形にして、その後ろに発動のボタンを付けてっと、それから……」



鉄のインゴットを倉庫から持ってきて、ライターの試作に取り掛かったのである。






「できましたー」


「おお、まさしくライターだ!」



そう言ってリリーはライターを手に取って着火を試みるのであった。




 ライター 製作者エリカ・シュタインベルク


 火打石代わりに使用できる火の魔法が込められている魔道具


 ボタンを押してる間だけ発動する


 使用回数:一度につき、2秒使用で約500回の使用可能


 ※残量が一割を切ると魔石が赤色に変色する。残量が無くなったら魔石が壊れて使用不可





「なんかオマケまで付いてるな」


「親切設計と言って下さい♪」


「確かにそうだね、魔石が赤く変色したのなら、予備に次のライターを買っておこうって気になるしね」



鑑定した結果を確認して満足げに頷くリリーであった。



「問題は、このライターの売り出し価格を幾らにするかですね」


「ミラさんが持っている魔石で50シルバって言ってたよね?」


「そうでしたね、この大きさの魔石で着火の付加価値が付いたこの魔道具ですと、10シルバぐらいが妥当ですかね?」


「うーん、一回ごと火を点けるのに2ベニーか…… ちょっと高い気もするかな?」



リリーは顎に手をやり思案顔で考えるのだった。



「でも、魔石の価値だけでも、5シルバはあるみたいですよ?」



ミラが持っているアーモンドチョコぐらいの大きさの魔石で50シルバ、このライターに使用している魔石は小指の爪ほどの大きさで5シルバ程度の価値になるのだ。



「それをそのまま、5シルバなんかで売ったら転売で利ザヤを稼ぐ輩が横行するかもしれないってことか」


「そうなる可能性は高いですね」


「それじゃあ、エリカの言う通りに10シルバで売りに出してみようか?」


「そうしますね、業者に卸した場合は魔石がなければ本来なら儲けが出ないですけども、ちゃちゃっと100個ほど作っちゃいますね」



エリカが言ってる意味は、魔石の価値が5シルバで業者に卸す値段が6シルバなので、本来なら鉄や手間賃を入れたら利益が出ないということである。

もちろん、自分たちの店、リリー商会の店頭で一般人に販売した場合は別である。



「日本円に換算して約10万円の使い捨てライターとは、なんて高級なライターなんだ」



リリーは手にしたライターをしげしげと眺めて独り言ちるのであった。



「元手も魔石と鉄と私の魔力だけですしね、売れたら売れただけボロ儲けですよ」


「実質的に元手はタダだもんね、なんてボロい商売なんだろ」



日本で百円の使い捨てライターが、この世界では千倍の価値に化けたので、リリーは笑いが止まらないと感じるのであった。

倉庫に魔石と鉄を溜めこんでいるからこそ言えるセリフであろう。



「まあ、これ以上にお金が増えても使い道なんて無いんですけどね」


「貧乏人が聞いたら後ろから刺されそうなセリフだな」



リリーは600,000G以上の資産を持っているのだが、エリカの言う通り大金を持ってはいるものの、使い道は無いのである。 それこそ国家でも樹立させない限りは。



「そうですけど、金持ち喧嘩せずってことで」


「エリカには、その使い方は絶対に間違ってるから」


「そうですか? こんなにも私はか弱い乙女なのにーっというか、錬金、ライター×100」



片手を魔石に、もう片方の手をインゴットにかざしたエリカがスキルを唱えると、たちどころにインゴットは魔石と融合してライターへと生まれ変わっていくのであった。



「鉄の塊が削られてライターに変化していく様子が、そのまま工場での製造工程みたいでシュールだ……」



連続して作られていくライターを見て、リリーは工場の製造ラインを思い浮かべるのだった。



「か弱い乙女はスルーですかそうですか ぐすん」




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