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道具屋にて~




「いらっしゃい」


「これぞ、まさしく道具屋だな」


「旅の道具というか、冒険に必要な道具は一通り揃っているみたいですね」



リリーとエリカは店の品揃えを見渡して納得するのであった。



「うむ、お、ポーション発見! どれどれ『神眼』」




 ポーション


 HPを50~60回復させる。


 ニガミ草と綺麗な水で作る初級回復薬。 苦くて不味い。




「苦いのか…… これで25ベニーもするんだ」


「ギルドでニガミ草の買い取りが1株3ベニーですし、このお店が六掛けで仕入れているなら、妥当な価格ではないでしょうか?」


「まあ、体力を強制的に回復できる薬だから高くても当然なのか。 試しに飲んでみるか、おじさん一本もらうよ」


「あいよ、25ベニーだよ」



リリーは店主にお金を渡して、それからポーションを口に運ぶのだった。






ゴクッ




「マズイーーーーー」


「はは、良薬は口に苦しってね、お嬢さん」


「ぺっぺ ものの見事に苦かった。 これを飲むのは大変だな」



見事に渋面を作ったリリーに店主が笑いながら声を掛けた。



「ポーションは、この一種類しか置いてないのですか?」


「ミドルポーションやハイポーションは、領都まで行かないと置いてないね。 材料のガンバ草が生えている場所が場所だからね」


「なるほど、危険な魔物がいる場所に群生しているのですね」


「そう、採取される絶対数が少なく値段も高くて貴重だから、付近に低級の魔物しか出没しないハージマリまでは回ってこないってわけだ」



エリカの問い掛けに説明する店主、それに納得して答えを返したエリカに店主も肯定するのであった。



「需要と供給のバランスか」


「難しい言葉を知ってるね。 その分、ミドルポーションはポーションの三倍は効き目があるよ。 値段は十倍だがな!」


「2シルバ50ベニーもするんだ」



ポーションの値段を聞いて目を丸くするリリーだったのである。



「マジックポーションが置いてないのも同じ理由みたいですね」


「まあ、そういうこった」


「エリカこれって、商売するチャンスじゃない?」


「そのようですね」


「はは、簡単にガンバ草が手に入るんなら、みんな商売を始めてるよ」


「それもそうですね」



リリーが目を輝かせながら言ったのに対して、店主は商売は甘いものではないと諭した。 エリカは、その両方を肯定するのであった。



「おじさん、例えばさ、このポーションが苦くなかったら、いくらで売れるかな?」


「そうだな…… 効果が同じで飲みやすいんだったら、三倍いや、味によっては五倍の値段でも売れるだろうな。 でも、そんな都合のいいモノ作れるのかい?」



リリーが尋ねたのに対して、店主は顎に手をやりながら考え込み疑問で返したのだった。



「例えばの話しだけどね! 調合に工夫したら出来るかもしれないでしょ?」


「夢のある話だな。 もし完成したなら、五倍だから75ベニーで買い取るよ」


「うん、その時はよろしくねー」


「あいよ」



店主はリリーの言葉を冗談半分に受け止めて軽く答えたのであった。



「では、この皮の道具袋だけ買って、次は武器屋でも覗いてから帰りましょうか」


「そうしよっか」


「その袋なら85ベニーだけど、お二人さんが別嬪さんだし、80ベニーでいいよ」


「おじさん、ありがとねー」


「おじゃましました」


「おう、毎度あり! またおいで」



欲しいと思えるアイテムも見当たらなくて、道具袋だけを買って二人は店を後にしたのである。






「初級ポーションしか置いてなかったのは以外でしたね」


「そうだね、ゲームの時代のこれも苦いのかな? 神眼」


「どうでしょうか? 鑑定」



二人はリリーがアイテムBOXから取り出したポーションを鑑定した。




 初級ポーション


 HPを250~270回復させる。


 栄養ドリンク味の初心者御用達ポーション、元気一発いっとく?




「どうみてもオロ○ミンCかリポ○タンDかアスパラです、ありがとうございました」


「道具屋の店主が言っていたミドルポーションよりも効果が上ですね」


「この世界のハイポーション並の性能ってことか」


「ミドル以上ハイ未満って感じですかね? それをそのまま売ったら10シルバ以上の価値はありそうですね」


「高麗人参もスッポンエキスもビックリだな」


「そうですね。 では、お昼を食べてから、魔法や錬金の練習をしましょうか」


「その前に一度、買った家の中で足りないモノをチェックしようよ」


「それもそうですね、お風呂も作らないといけませんし、家具も備え付け以外はありませんでしたね」


「ベットも買わないとね。 やることが多すぎてオーバーヒートしそう」


「宿はまだ、六日泊まれますし、ボチボチやればいいんですよ」


「うん、基本的にエリカに任したから」


「はい、任せれました」



こうして、買ったばかりの我が家へと向かう二人だったのである。






元雑貨屋改め、リリーホーム~




「と、結界石はこれで良しっと 結界発動」



エリカが唱えると不可視の膜のようなモノがドーム状に敷地全体を包み込んだ。



「ん? 結界張ったの?」


「はい、店舗部分以外は、リリーと私のどちらかの許可がなければ、入れない仕様にしました」


「安心仕様だね、此処に住むようになったら、クララとかだけ限定解除すればいいのか」


「そうなりますね」


「そういえば、さっきエリカが結界張ってる間に、地下で面白いモノの発見したよ」


「面白いモノですか?」


「うん、おいでおいで」



手招きするリリーに続いてエリカも地下へと続く階段を下りて行った。






「これはもしかして、銀行に預けていた素材ですか?」



地下室に所狭しと、しかし整然と積まれた素材を見てエリカが尋ねた。



「ピンポーン! この世界には銀行がないから、私が家を持ったことによって、どうやら此処がホームと認識されたみたいだね」


「銀行の倉庫の代わりに、ホームの地下室が倉庫になったということですか」


「そういうことだね、没収されてなくて良かったよ。 ご都合主義って素晴らしい!」


「なにげに異次元収納空間になってますしね」


「うむ、ファンタジー万歳」


「この素材があれば、いろいろと試せますね」


「うむ、ハイポーションもマジックポーションも作り放題だね!」


「作りすぎて、市場価格を暴落させたりしないように、注意しないといけませんけどね」



テンションの上がるリリーに対して、エリカは冷静に返答するのであった。



「そのあたりのことも、エリカに任した!」


「はいはい、任されましたよっところで、お風呂の造りはどうしますか? 大理石か檜風呂か温泉かどうかとか?」


「温泉なんて湧かせるの!?」



温泉の単語にリリーの瞳は期待の眼差しに変わったのである。



「はい、精霊を使えば簡単にできますよ」


「じゃあ、檜風呂と露天風呂の温泉がいいな!」


「では、上に戻りましょうか」



二人は風呂を造る為に地下室から地上に戻るのであった。




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