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チュンチュンチュン




「リリー起きてくださーい、 もう7時半ですよー?」


「うーん、あと5分…… むにゃむにゃ」


「起きてくれないと、あんなことやこんなことしちゃいますよー?」


「うんいーよーだからあとごふんー」


「しょうがないですね、まあ本人がいいって言ったのだから」




ぺろっ




「ああんって、えりか……?」


「おはようございます目が覚めましたか? ねぼすけさん♪」


「んぁ、おはよーってそうか、私は転生したんだったね」


「はい、今日から新生活の第一歩ですよ! 服を着てから裏の井戸に顔を洗いに行きましょうか」


「ほへー 井戸なんかあるんだというかなんで裸なの私は?」


「忘れたのですか? 昨夜は、あんなにも愛し合ったというのに♡」


「わ、分かったからストップストップ! いまはダメ!」


「ふふ、ところで今日は何を着て過ごします?」


「ねえ、この巫女服って汚れたり破れたりするのかな?」


「汚れは弾きますし、ピュアが付与されてますから洗濯の必要もないですね、破くのは私くらいしか出来ませんね。 でも、私の気分的には違う服を着て欲しいですね。 戦闘時はそれでも構いませんけれども」


「私も絶対に巫女服じゃなきゃダメってわけでもないしね。 ほら、せっかくだから課金アバターが大量にコレクションで眠っているのも着たいしね」


「では、今日は春物のワンピにしますね。 若草色が季節を感じさせますね、胸元のリボンも可愛いです」


「よ、用意がいいね…… 私は着替えがあるからいいけど、エリカの服は昨日と同じだよね?」


「私の服はこれしかないのです……」


「パンツは?」


「天使はパンツなんか穿きません」


「そ、そうなんだ、昨日はそこまで注意深く見てなかったから、分からなかったよっていうか、これからは穿きなよ」


「もっとちゃんと私を見て下さい。 パンツは、そうですね、この姿で過ごすことが多そうですから穿かないと拙いですよね」


「はい、それもだけど、もしかしたらエリカもコレクションに入ってる服が着れると思うよ?」


「リリーが一度でも着たのはロックが掛かってますよ?」


「それはゲーム時代でしょ? ここは現実なんだからシステムは解除されているんじゃないかな? 試す価値はあると思うよ」


「そうですね、では、選ばせてもらいますね」




「着れました! 私にもアバターの服が着れました♪」


「おー 本人の背丈に合わせて大きさが変わるなんて、まさしくファンタジー!」


「はい、リリーと同じで防具のエンジェルローブを装備したままでも着れましたね」


「うんうん、日焼けした小麦色の肌にメイド服はどうかと思ったけど、なかなかどうして似合ってるじゃないの」


「ごしゅ、リリーの従者ですからメイド服を着こなせないとメイド失格ですから」


「では、顔を洗ってから朝食を頂きますか」


「はい!」


「こ、腰がガクガクでまともに歩けなかったみたい……」


「ヒール掛けるの忘れてました♡ キュアヒール」


「今度からはお手柔らかにお願いするわ……」




「ぷはー 井戸水が冷たくて気持ちいい」


「そうですね、ピュアにはない気持ちよさがありますね。 しかし、アイテムにハブラシセットがあるのが不思議です」


「あまり深く考えてもしかたないけど、ネタアイテムが生活必需品になったのだから、儲けモノって思わなきゃ」


「それもそうですね。 ハブラシと歯磨き粉が無くなるまえに代用品を考えないといけませんね」


「あと、998個もあるのに?」


「リリーは不老不死なんですよ? 1セットなんて三か月かそこいらで使い切っちゃうでしょ?」


「250年分かー 長いのか短いのかピンとこないね。 250年もあれば良い代用品も作れるだろうけど、面倒だね。錬金の複製で作れないかな?」


「ああ、その手がありましたね、試す価値は十分にありますね」


「うむ、今日の私は冴えてるな!」


「雪でも降るかもしれないですね? 髪を梳かしますよ」


「失礼だな。 髪は梳かすほどもないでしょ? エリカの髪は梳かしがいありそうだけどさ」


「女の子の身だしなみですよ。 リリーの髪が長かったらポニーテールやツインテール、三つ編みおさげとかできたのに」


「このキャラにはイマイチ似合わなかったから、やめといひゃん! し、尻尾は優しく!」


「優しく梳かしてますよ?」


「いや、なんか百合的な梳かし方のような? アバターのはずの尻尾が感じるって摩訶不思議だ……」


「もう既にリリーの身体の一部ですよ? はい、綺麗になりました」


「ん、ありがとう。 エリカの梳かしてあげようか?」


「では、お願いしますね」




こうして朝からイチャイチャする二人であった。 爆発すればいいのに。




「ロッテさん、おはようございまーす」


「おはようございます」


「おはよう、リリーさん若草色のワンピース可愛いじゃないの、エリカさんはメイドが本職だったのかい?」


「えへへー ありがとうございます。 エリカが選んでくれたの」


「はい、普段はリリーと呼び捨てにしていますけれども、リリーは私の主、ご主人様です」


「ちんちくりんな私が公衆の面前で『ご主人様』って言われるのが嫌なんですよ」


「なるほどねぇ、でも、夜は主従逆転していたさね」


「ふふ、淑女の嗜みですから」


「エリカ思い出し笑いしないで」


「若いっていいねぇ、朝食は5ベニーで食べ放題のバイキング形式だよ。 まあ、パンにベーコンエッグとサラダ、スープしかないけどね」


「はい、二人分、大銅貨で」


「まいどあり、今日はどうするんだい? リーゼが家がどうたらとか言ってたけどさ」


「今日は商業ギルドに行って、そこの空き家を見せてもらいます。 時間があったら、その後にリリーの魔法の練習も兼ねてクエストを受けようかと」


「おおっ! リンゴジュースとオレンジジュースもあるとは!?」


「こうしてみると、無邪気な少女にしかみえないのに不思議なもんだねぇ」


「そうですね、そこも魅力なのですけどね」


「まあ、ゆっくり食べていっとくれ」


「はい、頂きます」




食堂には目を充血させた男達モブA~Dがいた。 エリカと目が合うと顔を赤らめさせ不自然に目を逸らした。




「本日はお日柄もよろしく……」


「寝不足で太陽が黄色いぜ」


「太陽が黄色いのはあたりまえだろ?」


「ははっ ちげえねえ、はははっ」


「「「「はぁ~……」」」」




なにかを想像して深い溜め息を吐く四人であった。 なにかを想像するのは個人の自由である。




「うむ、オレンジは普通に美味いな! リンゴは酸味がちょっとキツイから改良が必要かな?」


「地球のリンゴジュースは、どんな味だったのですか?」


「ふふふっ エリカさんや、よくぞ聞いてくれました。 じゃじゃーん! ネタアイテム、グ○コのリンゴジュース濃縮還元270ml」


「EEOはVRでもないのに、食品アイテムって意味あったんですかね?」


「広告だったんじゃないかな? それよりも、飲み比べてみてよ」


「では、最初にこっちのは、うん、酸っぱいですね。 グリコのは…… 流石は日本が誇るブランドですね。 もう、酸っぱいのは飲めそうにありません」


「でしょでしょ? 錬金で複製が出来るのなら、此処に居ても日本と同じモノが飲み食いできるってことだよ!」


「異世界ファンタジーの浪漫を壊しますけれども、美味しいモノに国境も異世界の壁もありませんしね。 商業ギルドの用事が終わったら、早速にでも試してみましょう」


「そうこなくっちゃ!」



それから、朝食を食べ終わり商業ギルドへ向かったリリーとエリカであった。




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