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「リリーさんもエリカさんも物騒ですね」


「リリーさんなんて目が輝いてましたよ?」


「普通は怯えるとか、少なくとも目を逸らしますよね?」



大した騒動にならずに良かったと思っているクララが二人のもの言いをやや咎め、ミラはリリーのキラキラしていた目付きを疑問に思い、リーゼがごく一般的な行動を解説したのであった。



「この二人を見た目が可愛らしい、年頃の女の常識を当て嵌めても無駄だわさ、この二人は私よりもずっと強いからね」


「ロッテさんは、やはり気付いていましたか」


「最初は身のこなしが普通なんで、引っ掛かる程度の違和感しかなかったけどねぇ、エールを冷やしたので確信したよ」


「おー 流石はベテラン冒険者だった人の言葉だ」



リリーはロッテの洞察力に関心して褒めたのだった。



「強いとは分かってましたけど、ロッテさんより強いとは!?」


「そうですね、魔力の量が桁外れだから強いとは思いましたけど」


「そ、そんなに強いんですか? お母さんより強いんだ!」



クララとリーゼは驚き、ミラは魔力の量で二人の強さをある程度は認識していたようであった。




「一応、強い事は強いですけれども、みなさんは私たちが戦っている所を見てませんので、買いかぶり過ぎかも知れませんよ?」


「あたしが保証するさ、相手の実力が分からない程に落ちぶれてはないさね。 でなきゃ、いまごろ魔物に食われて死んでるよ」



謙遜するエリカにロッテが自分の経験に基づいて、エリカの言葉を否定したのである。



「戦場では臆病な者ほど生き延びる キリッ」


「キリッだってお 草生えますね、これは」


「よく分からんが、臆病なぐらいが丁度いいのは事実さね。 さてと、あたしゃ仕事に戻るとしますかね。 ビールありがとうね、エリカさんまたよろしく頼むよ!」


え「はい、分かりました」



二人のやり取りを半ばスルーして仕事に戻るロッテだったのであった。




「そうそう、みんなに聞きたいんだけども、ここら辺で空き家ってある?」


「空き家なら、斜向かいの店舗兼住宅が空き家ですね。 半年前まで雑貨屋を営んでいた老夫婦が住んでいたんですけど、高齢だからって領都に住む息子さんが引き取ったんですよ」


「ちょうど見えますね、あれですよ」



空き家を尋ねたリリーに対して、クララが説明したのをミラが引き取って指を差して教えた。



「ほう、なんというご都合主義」


「そういうこともありますよ。 間口は15メートルってところですね、奥行きは分かりますか?」



リリーの言いようを肯定してから、空き家の概要の説明を求めるエリカだった。



「奥行きはそこそこありますね、確か30メートルくらいでしたか?」


「あそこの四軒は区画が全部同じだから、30メートルだね、奥は庭になっていて裏の路地に面してますね」



説明を求められてリーゼが答えたのに続いてミラが詳しく説明したのであった。



「ちょうど、[ こんな感じで三面が道に面しているのね」


「南側が空き地なのがいいですね」


「角地じゃない間の土地は不人気ですからね、私が赴任してきてからずっと空き地のままですよ」



指でコの字を書いて表現するリリーと、空き家の隣が更地なのを喜ぶエリカ。 その理由をクララが語るのであった。



「もしかして、家を買うんですか?」


「うん、風呂に入りたいから買って増築しようと思って聞いてみた」



空き家の話を疑問に思ったリーゼが問い掛けたのに対して、リリーが当然な事と肯定したのである。



「あの雑貨屋さんだった土地を買うなら最低でも15ゴルドはしますよ!? 大丈夫なんですか?」


「大丈夫だ問題ない」


「お約束入りました」


「様式美って大事だと思うんだよ?」



金額の心配をするリーゼをよそに、脱線するリリーとエリカなのであった。 テンプレートとも言う。



「やはり、最重要項目はお風呂なんですね?」


「あたりまえだのくらっかー」


「いつの時代の人ですか、分かる人いるんですかね?」



確認するように尋ねるクララに対して、この世界の人には理解できない返しをするリリーと、それに突っ込むエリカであった。



「???」


「また始まりましたね、リーゼも二人のやり取りは、気にしたら負けよ」


「ええ、気にしない方が心身の健康の為だよ」


「は、はぁ……」



リリーのギャグが分からなかったリーゼは頭の中に?マークを量産するのだった。 それをミラとクララが宥めすかすのであるが、イマイチ理解出来ていないリーゼは、曖昧に頷くのであった。



「南側の空き地は、いくらぐらいですかね?」



そう言って値段を尋ねるエリカにミラは、



「詳しい値段は商業ギルドに行かないと分かりませんけど、建屋がないのと角地ではないので、10ゴルド以下だと思います」



「もしかして…… 空き地も買うとか?」



クララが恐る恐る尋ねるのに対して、エリカはあっさりと肯定するのであった。



「はい、その積もりです。 万が一、建物が建ったら日当たりが悪くなりますしね」



「南側も買うと、ちょうど30×30の正方形になって見栄えもいいね!」


「お金の問題じゃなくて、見栄えの問題でしたか……」



リリーが見栄え云々のたうつのに、呆れ気味なリーゼなのであった。



「不動産鑑定士と宅建を名誉所持している私の鑑定結果によると、南側の空き地は、1平米あたり2シルバと鑑定します。北側の角地は、1平米あたり2シルバ50ベニーで、建物の価値を築年数の経年劣化を差し引いて、4ゴルド50シルバと鑑定します」


「んー エリカはいい仕事してますねぇって、それって合ってるの?」


「だいたい合っていると思いますよ? リーゼさんとミラさんが言っていた値段で遊んでみただけですけどね」


「お遊びだったんですか……」



エリカのおふざけに付き合うリリー、それを真面目に聞いて損したと思ったクララだったのである。



「人生に遊びは大切ですよ? 余裕を持って人生楽しまないと損だと思います。 アイス5℃ 分離、H2CO3 おかわりどうぞ♪」


「ど、どうも…… エリカさんは余裕が有り過ぎると思いますけどね」



ビールを作りながら持論を展開するエリカに、ミラが食い付くのであった。



「ごきゅごきゅ でも、建物の価値って思っていたよりも低いんだな」


「私が小さい時には既にありましたから、最低でも13年は経っていますので、価値は低いかも知れませんね」



日本の相場を思い出しながら疑問を口にするリリーに対して、リーゼが、その理由を答えたのだった。



「そういえば、リーゼっていくつなの?」


「16です、リリーさんはいくつなんですか?」


「私は17だよ」


「私は19です」


「エリカさんは年相応な気がしますけど、狐人族って年齢不詳なんですね?」


「狐は長生きみたいだから、成長が遅いのかもね、ごぎゅごぎゅ」



お互いの歳を言い合う中で、リリーは自分でも種族特製をよく理解していない為に、適当に誤魔化しておくのであった。



「なにはともあれ、あそこを買うなら商業ギルドに行かないとね」


「お風呂を作ったのなら入らせてもらってもいいですか?」



クララが商業ギルドへ行くのを勧める傍らでミラは、お風呂をお強請りするのだった。



「まだ、あそこを買うかどうかは分からないけど、どの土地でもお風呂は作るから、それは構わないよ」


「ありがとうございます、一度お風呂ってのに入ってみたかったんですよ!」


「私も入りたいです!」


「わ、私もー」



リリーがミラのお強請りに対して是と答えると、クララとリーゼも頼み込むのであった。 それにエリカが風呂の拡張を考えるのだった。



「ふふ、みんな気が早いですね、こうなったら少し大き目なお風呂を作りましょうか」



こうして、みんなでワイワイと飲みはしゃいで異世界初日の夜は更けて行き、お開きとなったのであった。




下書きの時点では、「」で語られている会話文が大部分で、それを補足説明する、三人称、神の眼での視点はほとんど書いていませんでしたので、付け足しました。

本来であると、この小説とも言えない小説は、


リリー「うむ、今日も元気でビールが美味い!」

エリカ「あんまり飲むと太りますよ?」

クララ「ギクッ」

ミラ 「ビクッ」

リーゼ「あわわ」


という風にしたかったのですけど、これで「」の前の名前を削ったら、誰が何を喋っているのか分からなくなりますけど、「」の前に登場人物の名前を出すのはいかがなものかとも思いまして、泣く泣く削りました。


これは、作者の私が対話式AARアフターアクションリポートゲームの対話形式のリポートしか書いたことが無い弊害だと思います。

普通の三人称を書けないともいう。


こんな拙い小説ですけど、これからもよろしくお願いします。

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