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ゴクッ




「ブゥーーーーーーーーーーー」


「汚いですね」


「マズーーーー!!」


「そうですか? エールとは、こんなモノですよ?」


「だ、だって、これ温いし炭酸入ってないし、ただの麦汁だよ!?」


「ドイツ人に失礼ですよ?って、なるほど、リリーはビールと勘違いしていたのですね」


「う、うん…… キンキンに冷えたビールが飲みたいよママン」


「誰がママンですか誰が。 仕方ないですね。『アイス5℃』『分離、H2CO3』 はい、どうぞ」


「お? どれどれ」



ゴクッ



「むむ?」



ゴキュゴキュゴキュ



「これ、これだよ! エリカ凄い! りゅうせきだね、ながれいしだね、さすがだね」


「もっと褒めてもいいのよ? では、私のにも『アイス5℃』『分離、H2CO3』」



ゴクッ



「なるほど…… これが地球のビールなのですね」


「どう? 美味しいでしょ?」


「はい、これは嵌りますね。 美味しすぎて危険です」


「でしょ?でしょ! こっちでもビールが飲めて良かった~ エリカ愛してる!」


「ビールよりも愛して下さいね」


「も、もちろん」


「目が泳ぎましたよ? まあ、ビール飲んでいる時ぐらいは、いいですけど。 それより、枝豆とか欲しくなりますね」


「あー さっき、メニューに似たようなのがあったような?」


「えーと、多分これですね」



 豆の塩茹で:2ベニー



「お待たせしましたー ホーンラビットのステーキセットとココットドリの唐揚げセットになります」


「お、きたきた♪ お姉さん、この豆の塩茹での豆って、これぐらいの大きさの豆ですか?」


リリーは人差し指を小さく丸めてウエイトレスの少女ともいえる女性に尋ねた。



「はい、大豆って呼ばれている種類の豆を、鞘に入ったまま塩茹でするだけの簡単なおつまみですね」


「おー まんま枝豆だ! じゃあ、それ、豆の塩茹で下さい」


「それと、エールのおかわりも下さい」


「分かりました、豆の塩茹でとエールのお代わりですね、エール二杯ですか?」


「イエスマム!」


「私まだ独身ですよ?」


「つ、通じてしまった……」


「通じましたね」


「??? よく分かりませんけど、少々お待ち下さい」


「あまり変なことを言って、困らせないで下さいね」


「イ、イエ「ジトっ」ワカリマシタデス」


「分かればよろしいのです」


「ふぅー、でも、ビールが飲めるなら、ステーキも唐揚げも、つまみで食べちゃいそうだな」


「そうですね、ビールがあんなにも美味しいなんて、思いもしませんでしたから」



「お待たせしましたー 空いたジョッキを下げ? 冷たい??」


「あー それ、魔法で冷やしたの、そうすると温いエールも美味しく飲めるからね」


「な、なるほどって魔法の無駄遣いですね」


「そうなの?」


「リリー、普通の人は魔力が少ないから冷やす魔法は使えないか、使えたとしても魔力の消費が多くて疲れるのでしょう」


「そういう事です、エールを魔法で冷やす人なんて初めて見ましたよ。 冷やしている所を見せてもらってもいいですか?」


「構いませんよ。 では、アイス5℃ 分離、H2CO3」


「さっきも、そう言ってたのか」


「おー なんだか分からないけど、凄いですね!」


「一口飲んでみますか?」


「え? いいんですか?」


「どうぞ?」


「で、では、お言葉に甘えて……」



コクッ



「!?」


「美味しいでしょー?」


「は、はい! なんなのですかこれは? これは既にエールではないです!」


「これは、ビールって言うらしいですね」


「うむ、正確にビールと言うかは疑問の余地はあるけど、まあ、ビールでいいんじゃないかな?」


「な、なるほど、しかし口の中で弾ける感じは、なんなのでしょう?」


「それは炭酸ですね」


「炭酸?」


「はい、それがこの空気中にあって、それを魔法で取り出したとでも思ってくれればいいです」


「よくわかりませんけど、魔法ってそういう物ですし、分かりました」


「もぐもぐ、気に入ったのなら、奢るから、これ一杯飲んでもいいよ?」


「の、飲みたいですけど、こんなの飲んじゃったら、もう普通のエールじゃ我慢できなくなりそうで怖いですし、残念ですけど仕事中ですから」


「こ、こんなの体験したら、もう普通の身体には戻れそうになくて怖いわ♡」


「リリーは、わざといやらしい言い方しなくていいですから。 それもそうですね、仕事中にすみませんでした」


「い、いえ、こちらこそ頂いてしまいまして、ありがとうございました。 では、またご注文があればお呼び下さい」


「おー まさしく枝豆だこれ! うむ、美味い」


「ふふ、美味しいって言ってもらえて良かったです。 では」


そんなこんなで三杯目のエールもとい、ビールを飲み干したリリーが、



「おしっこしたくなった」


「食事中にはしたないですよ? そういえば、こちらに来てからまだしてませんでしたね。 一人でできますか?」


「むう、りりーたんさんちゃいじゃないんだから、ひとりでできるもん!」


「はじめてのおつかいですよ?」


「むむむ、そ、そういえばそうだった…… 袴とかの着付けって、どうやるんだろ?」


「そっちの心配でしたか」


「リリーが心配ですし、私ももよおして来ましたから、一緒に行きましょうか」


「う、うん、お願いするわっていうか、天使でもするんだね」


「そりゃ、生きているんですから、おしっこの一つや二つしますよ? リリーは私をなんだと思っているのですか?」


「いや、ゲーム時代はどうしてたのか疑問に思ったからさー」


「18禁ゲーじゃあるまいし、描写がないだけで普通にしてましたよ。 これ以上いいますと、夜想曲に隔離されますよ?」


「う、うむ、それは困る……」


「トイレなら、その奥ですよー」


「ありがとー」





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