肯定としてのキス
君は、僕のことが好きかい。
僕が君に聞いてみても、君は何も答えなかった。
ただ、キスをしてくるだけだった。
それが、君なりの答えだったんだろう。
僕はそれを肯定ととらえていた。
つまり、君は僕が好きだということだ。
それは正しいだろうという確信に至ったのは、君が隠していた指輪だった
指輪は箱に入っていたから、番号などを控えて、その店にいくと、メッセージカードを渡された。
それは結婚しようという、実に簡潔な言葉だった。
明らかに君が書いた字だというのは、見た途端にわかった。
名前だって、僕のフルネームとともに、君のフルネームも書かれている。
「そっか、結婚したいのか……」
僕はすべてを察した。
家に戻ると君がいた。
「結婚しよう」
お帰りとか言われる前に、僕は切り出す。
君はいつものように何も答えず、ただ腕を僕の首に絡めて、キスをした。
僕はそれを肯定と信じた。