1-1話
作者は飽き性なのでいつ小説が更新するかわかりません。
僕がこの桜ノ道高等学校に入学してから二度目の春が訪れた。
校舎へと続く下り坂の左脇にはまるで新入生を迎えるかのごとく桜が咲きまくっている。花が特別好きでもない僕でもその眺めには目を奪われる。
桜を見ながら歩いていると前方に見慣れた後ろ姿を発見した。あの天然パーマとチビのコンビは、間違いなく僕の悪友の濱口双侍と綾国友真だ。
終業式以来なので姿を見るのも結構久しぶりだ。
「おはよう、双侍に友真」
「!? よ、よお、春樹か」
「……久しぶりだね、春樹」
今日はいつもより早くに起きたので一人で学校に向かっていたんだけど、どうやらあっちの二人も偶然早くに起きたらしい。まあ今日は始業式だし珍しいことってわけでもないか。
……あ、そういえば――
「春休みちゅうはどうして連絡をくれなかったのさ? 僕が連絡をいれても出ないし」
「……色々あってな」
「色々とね……」
色々ってなんだろう?それになぜか二人の目が捨て犬を見るかのような目で僕を見ている気がする。
ガスッ……ミシミシ。あれ?嫌な音が背中から……。
「ミギャアアア!! 僕の背骨に壮絶な痛みがあああ!?」
その場に崩れ地面をのたうちまわる。
「オハヨウ。 こんなところで合うなんて奇遇だネ春樹」
背後から僕の背中に膝蹴りを食らわせた犯人は、やっぱり櫻井静音だった。
猫科の動物を連想させる二重の瞳と口もと。ボーイッシュな髪型。凹凸の少ないスラッとした体型。オトコモノの服を着なくても男と勘違いしそうだけど、これでも一応桜ノ道に通う女の子だ。
帰国子女らしくこの喋りかたはワザとじゃないらしい。
ちなみに友真と双侍は巻きぞえを喰らわないように、少し離れたところに避難している。
「静音はどうして合うたび合うたび僕に攻撃するんだよ!?」
出会い頭の攻撃は今に始まったことではない。一年生の時は同じクラスだったので学校がある日は常に痛みに苦しんでいた。
「そうだネエ、簡単に説明するなら登山家と一緒だヨ。いいカイ……?」
静音が悟すように僕の肩に手を置く。
登山家?あの山を登る人達とこの通り魔のようなおこないにどういった関係が?
「日本の登山家にはコウいう言葉があるんだヨ。 何故山に登るのか、そこに山があるからサ」
親指を突き出して心から楽しそうに笑う静音。
理由もなしに人を殴ったら普通は罪悪感が生まれるものだ。しかし静音は僕を殴るたびに罪悪感が生まれるどころか、為し遂げたという達成感に満たされているらしい。
……たちが悪すぎて泣きそうになってきた。
「フフン♪それじゃあまたネ」
僕の絶望した顔を見て満足したのか、静音は手を振りながら走っていった。
字が間違ってたり、わかりづらい表現があれば教えていただけると嬉しいです。