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貴方に繋がる鍵

バレンタインデー。世間はそれ一色だ。


「優璃は誰かにあげないの?」

「うーん・・・うん。誰にもあげるつもりはないよ」

嘘。本当は一人いる。

「へえ、お父さんにはあげないの?」

「もうそんな歳じゃないよ。それに、お父さん忙しから貰ってくれないと思うの」

「ふーん」


友達との会話。これが教室でできるのが来月で最後だと思うと少しさみしく思える。

でも、それ以上に寂しくて、悲しいことがある。



屋敷の地下室には、いろんな鍵がある。

部屋の鍵、金庫の鍵、家の鍵・・・・檻の鍵。

あるとしたらここにしかない。きっと。

ここだけは監視カメラがついていないので、私でも楽に入れた。

・・・訂正すると、忍び込めた、だ。

私の家は家の中に侵入するまでが困難を極めるのだ。まあ、地下室なんて身内以外は知らないんだけど。

どうでもいいことを思いながら、数百とある鍵を一本一本見ていく。

「こんなに沢山、どんだけあるの・・・」

そんなことを言いながら歩いていると、あるスペースだけ隠されているようになっていた。

「まさか・・・」

駆け寄って、棚を開けてみる。手袋はしてるので、抜かりはない。

そこにあったのは、鍵に蔦が絡まっているようなモチーフの錆びた銀色の鍵だった。

傍にあったタグには一言、

『獣容れ』

の言葉があった。

「ビンゴ!」

思わず大声で言って、ハッとする。周りを確認。よし、誰もいない。

本当は今すぐ走っていきたいけど、今は無理だ。お父様も赤坂も――他の人たちの眼もある。

でも、ちゃんと予定は立ててある。誰にも警戒されない、ぴったりの日。


「絶対に助けるからね、コウ」

呟いた言葉は、しんとした地下室に凛と響いた。

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