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新婚初日で白い結婚を突きつけられたので、付与魔法で便利グッズ作って快適な引きこもり生活送ります【書籍10月1日発売!】  作者: 茨木野


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【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。

 重厚な扉を開け、商業ギルドへと足を踏み入れたリリアナ。

 建物の内側はひんやりと薄暗く、紙とインク、それに微かな香木の匂いが空気に溶け込んでいた。


「いらっしゃいませ、お嬢様」


 人々の話し声がざわめく中、整った顔つきの青年商人が恭しく頭を下げた。

 衣擦れの音をさせてリリアナに近づく彼は、へつらうような、それでいて隙のない笑みを浮かべている。

 上質なドレスの仕立てから、彼女が良いところの出であることを瞬時に察したのだろう。


「本日はどのような御用向きでしょうか」


「布が欲しいわ。うんと質の悪い、安っちいやつで」


 リリアナの言葉に、商人はわずかに目を丸くして小首をかしげた。

 しかし、すぐさま営業用の笑みを顔に貼り付ける。


「かしこまりました。すぐにご案内いたします」


(あら。怪しまれると思ったのだけど)


 リリアナは小さく息を吐き、ぱちくりと瞬きをした。

 身なりのいい貴族の娘が、わざわざ質の悪い粗悪品を買おうとしているのだ。

 商人からすれば、期待外れ感は否めなかったはずである。


 しかし、商人は微塵も嫌な顔を見せず、不用意に勘繰ってくるような真似もしなかった。


(いい奴ね)


 程なくして、リリアナたちはふかふかの絨毯が敷かれた応接室へと通された。

 おそらく貴族向けの特別措置をとってくれたのだろう。

 部屋の中は温かく、淹れたての紅茶の良い香りがふわりと漂っている。


 しばらくして、静かにノックの音が響き、さっきの青年とアシスタントらしき少年が入室してきた。


「お待たせいたしました」


 アシスタントの少年が、カラカラと車輪の音をさせて木製のカートを押してくる。

 その上には、麻のようなごわごわとした、無骨な質感の布が積まれていた。


「いい感じね。ところで、白銀蜘蛛の布ってどれくらいで売り買いされているの」


「大体、これくらいになりますね」


 青年が懐から帳簿を取り出し、さらさらと金額を書き示して見せる。

 それは、普通のドレスを一着仕立てるよりもはるかに高額な数字だった。

 しかもこれは、加工される前のただの布切れの値段である。


 リリアナは口元を扇子で隠し、にやりと悪戯っぽく唇を吊り上げた。


「よし。じゃあ、この布を買うわ」


 背後に控えていたルナへ視線で合図を送る。

 エルフのメイドは静かに頷き、革袋からジャラリと重たい金貨を取り出して代金を支払った。


「少し喉が渇いたわね」


「では、すぐにご用意してまいります」


 青年は深く一礼すると、アシスタントの少年を伴い、音もなく応接室から退出していった。

 パタン、と重たい扉が閉まる音が部屋に落ちる。


「ふむ、できる……」


「どういうことですか」


 主人の呟きに、ルナが不思議そうに首を傾げる。


「あの商人、私が今からしようとすることに気づいて、気を利かせてこの部屋から出ていったのよ。気遣いできるわね」


「……なるほど」


 ルナの長い耳が、ぴくりと不機嫌そうに下がった。

 最愛の主人たるリリアナが、自分以外の男を褒めているのが面白くないのだろう。

 ルナはムスッとして頬を膨らませた。


「さってと、始めますか」


 リリアナは機嫌よく微笑み、ごわごわとした粗悪な布の山へと真っ直ぐに手を伸ばした。


【お知らせ】

※8/21(金)


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