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【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
重厚な扉を開け、商業ギルドへと足を踏み入れたリリアナ。
建物の内側はひんやりと薄暗く、紙とインク、それに微かな香木の匂いが空気に溶け込んでいた。
「いらっしゃいませ、お嬢様」
人々の話し声がざわめく中、整った顔つきの青年商人が恭しく頭を下げた。
衣擦れの音をさせてリリアナに近づく彼は、へつらうような、それでいて隙のない笑みを浮かべている。
上質なドレスの仕立てから、彼女が良いところの出であることを瞬時に察したのだろう。
「本日はどのような御用向きでしょうか」
「布が欲しいわ。うんと質の悪い、安っちいやつで」
リリアナの言葉に、商人はわずかに目を丸くして小首をかしげた。
しかし、すぐさま営業用の笑みを顔に貼り付ける。
「かしこまりました。すぐにご案内いたします」
(あら。怪しまれると思ったのだけど)
リリアナは小さく息を吐き、ぱちくりと瞬きをした。
身なりのいい貴族の娘が、わざわざ質の悪い粗悪品を買おうとしているのだ。
商人からすれば、期待外れ感は否めなかったはずである。
しかし、商人は微塵も嫌な顔を見せず、不用意に勘繰ってくるような真似もしなかった。
(いい奴ね)
程なくして、リリアナたちはふかふかの絨毯が敷かれた応接室へと通された。
おそらく貴族向けの特別措置をとってくれたのだろう。
部屋の中は温かく、淹れたての紅茶の良い香りがふわりと漂っている。
しばらくして、静かにノックの音が響き、さっきの青年とアシスタントらしき少年が入室してきた。
「お待たせいたしました」
アシスタントの少年が、カラカラと車輪の音をさせて木製のカートを押してくる。
その上には、麻のようなごわごわとした、無骨な質感の布が積まれていた。
「いい感じね。ところで、白銀蜘蛛の布ってどれくらいで売り買いされているの」
「大体、これくらいになりますね」
青年が懐から帳簿を取り出し、さらさらと金額を書き示して見せる。
それは、普通のドレスを一着仕立てるよりもはるかに高額な数字だった。
しかもこれは、加工される前のただの布切れの値段である。
リリアナは口元を扇子で隠し、にやりと悪戯っぽく唇を吊り上げた。
「よし。じゃあ、この布を買うわ」
背後に控えていたルナへ視線で合図を送る。
エルフのメイドは静かに頷き、革袋からジャラリと重たい金貨を取り出して代金を支払った。
「少し喉が渇いたわね」
「では、すぐにご用意してまいります」
青年は深く一礼すると、アシスタントの少年を伴い、音もなく応接室から退出していった。
パタン、と重たい扉が閉まる音が部屋に落ちる。
「ふむ、できる……」
「どういうことですか」
主人の呟きに、ルナが不思議そうに首を傾げる。
「あの商人、私が今からしようとすることに気づいて、気を利かせてこの部屋から出ていったのよ。気遣いできるわね」
「……なるほど」
ルナの長い耳が、ぴくりと不機嫌そうに下がった。
最愛の主人たるリリアナが、自分以外の男を褒めているのが面白くないのだろう。
ルナはムスッとして頬を膨らませた。
「さってと、始めますか」
リリアナは機嫌よく微笑み、ごわごわとした粗悪な布の山へと真っ直ぐに手を伸ばした。
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