39.正気に戻った主様と、裏切りのケーキ転送
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
離れのリビング。
モニター越しにジークフリートの完全勝利を見届けたリリアナは、明らかにホッとした表情を浮かべていた。
無傷で済んだ安堵と、自作の魔道具が完璧に機能した喜びが顔に滲み出ている。
そんな彼女の横で、ポチが何も言わずにただ静かに佇み、じーっとリリアナを見つめていた。
「……なによ」
リリアナがジト目を向ける。
「ワフン?(何も言ってないぜ?)」
「なに、私がジークフリートのこと好きになったんだろ、とか思ってるわけ!?」
「ワフン(ニマリ)」
図星を突かれたように顔を赤くするリリアナに、ポチは余裕たっぷりに口角を上げた。
『わかってるぜハニー。それでいいんだぜ』と言わんばかりの、ダンディな笑みだ。
「馬鹿にして……バカ犬……!」
リリアナは照れ隠しでポチの首元に顔を埋め、「ぽふっ」と思い切りモフりまくった。
ポチは一切抵抗せず、ハードボイルドな男の包容力でされるがままになっている。
「主様」
和やかな空気を裂くように、ルナが悲痛な面持ちで口を挟んだ。
「あの男に惹かれるのは危険です。お忘れですか? 初夜に、あんなにも主様を傷つけたのですよ」
その言葉に、リリアナの手がピタリと止まった。
「……ずいぶん前のことのように感じるわ。ええ、忘れてないわよ」
ルナがさらに踏み込む。
「なら、あのように仲良くするのはいかがなものかと。再び裏切られたら、主様のお心が……」
「でもね、あいつとの日々も、ちゃんと覚えてるのよ、私」
リリアナはポチの背中を撫でながら、ぽつりとこぼした。
「ひどい目には遭ったけど。それ以降のあの馬鹿犬の振る舞い……うん。ずっと鬱陶しく、リリー、リリー言ってて……うん」
思い出しながら、リリアナの表情がどうしても少しだけ綻んでしまう。
冷たく突き放しても、何度でも嬉しそうに尻尾を振って近づいてくる大型犬のような姿が脳裏に浮かぶのだ。
自分が無意識にデレ顔になっていることに気づき、リリアナは慌てて咳払いをした。
「……う、うざいわね!」
「でしょう!? はー、うざいうざい!」
ルナが我が意を得たりと力強く頷いた。
(ふふん、主様がやっと正気に戻られたわ!)と、エルフのメイドは内心でガッツポーズをする。
「うざいわー、うざいから紅茶とケーキを用意して。甘いもの食べて忘れましょ」
「かしこまりました!」
主様のストレス発散のためね、とルナは嬉々として厨房へ向かった。
一部始終を見ていたポチは何も言わず、ただニヤリと笑っている。
彼はこの後の展開を、完全に読み切っていた。
数分後。
「お持ちしました、主様!」
ルナが張り切って、大量のケーキと最高級の紅茶をワゴンに載せて戻ってきた。
リリアナを喜ばせようと、厨房にある甘味をこれでもかと盛り付けている。
リリアナはそれを見て、少しだけ目を瞬かせた。
「……ちょっと数が多いわね。私一人じゃ食べきれないわ」
「えっ? ああ、残りは私が処理しますのでご心配なく!」
「そうね……。じゃあ、転移魔法陣を使って、ジークフリートに届けてきて頂戴」
リリアナは悪びれもせず、さらりと言ってのけた。
「……はい?」
「討伐で疲れてるだろうし。糖分補給よ。ついでに紅茶も熱いまま届けてあげて」
ルナはワゴンの前で完全に硬直した。
正気に戻ったのではなかったのか。
あの男の鬱陶しさを再確認して、ケーキをやけ食いする流れではなかったのか。
「……主様、それは、あの男への……差し入れ、ということで……?」
「違うわよ。ケーキが余ったから押し付けるだけ。廃棄処分よ」
リリアナはそっぽを向きながら、早口で言い訳を並べる。
その耳が真っ赤に染まっていることを、ルナは見逃さなかった。
主様は、完全に陥落している。
「ワッフッフ(ハニー、素直でよろしい)」
ポチがダンディな低音で鳴き、ルナは絶望のあまりその場に崩れ落ちたのだった。
【おしらせ】
※2/25(水)
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