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4話 異世界転生がばれました!

 初任務を終えた私とカイル大佐は、買い出しの為に近くの町へと向かっていた。


「お買い物、お買い物っ! ちょっと楽しみ!!」


 初めてのファンタジー世界の町ということで、私はとっても浮かれている。きっと見たことも無いようなものが沢山あるに違いない!今からワクワクしてしまう。


「買い出しも任務の一環だぞ、コハル」


「でも、初めての町なんですもの!」


「町が初めて……? 君は一体、どんな暮らしをしてきたんだ?」


 大佐の疑問に私はギクッとした。しまった、これは失言だった。確かに生まれてこの方、町に出たことが無い人間なんて珍しすぎる!


「あ、あー、ええと……」


 脳をフル回転させて言い訳を考える。どうしよう、ここで変な生い立ちでも設定しようものなら、きっとまた筋肉聖女とかよく分からない伏線へと繋げられてしまう。

 うろたえている私に、大佐からさらに爆弾が投下された。


「もしかして、君が言っていた異世界転生という奴と関係が?」


「ぶっは!!!」


 突然の確信をつく言葉に、私はむせた。


「な、なななな、なんですか、突然!? 異世界転生ってナンデスカ??」


「どうして片言になる。君が自分で言っていたんじゃないか、初任務の戦闘中に」


「ひえっ!? ま、まま、まさか、そんなこと……」


 否定しようとする私の眼前に、ブォン!とゲームウィンドウのようなものが出現した。あ、これ、異世界転生で見たことある奴!!

 どうやらカイル大佐には見えていないらしいその画面には、ご丁寧に過去ログが表示されている。


(ええと、さかのぼって、さかのぼって)


 雰囲気で何とか画面を操作して、私は該当箇所の過去ログまで辿り着いた。


>「せっかく”異世界転生”したんだし、やっぱり魔法が使いたい!

> ようし、いくぞー! ファイヤーボール!!」


(アウト――!!)


 言っていた。完全に言っていた。テンション上がり過ぎて喋っちゃってた。


「くっ……。でも、あんな一瞬の発言、よく覚えていましたね!?」


「当たり前だ。君の言ったことはすべて覚えている」


「きゅん! いや違う、ときめいている場合じゃない!!

 違うんです、大佐。あの、ええと、異世界転生というのはですね――」


 頑張れ!ここから最高の言い訳で巻き返せ、私のオタク的頭脳!プレイヤースキルを見せつけてやれ!!


「筋トレの一種です!!!!」


「何っ、筋トレだと!?」


 ああ、私の馬鹿。バカバカ。ここまでの筋肉バカ騒ぎ展開に引っ張られて、こんな言い訳しか出てこなかった。


「あ、はい、筋トレです……。いやでもあながち、間違ってないか……。

 筋トレマシーンに潰されて死んだんだし……」


「死ぬほどの筋トレを!?」


 カイル大佐が私を畏敬の眼差しで見つめている。どうしよう、事態がどんどんややこしくなっている。

 いっそ全部もう本当のことを言ってしまおうか。何かこのノリなら、ここがプレイしていたゲームの世界だとか言っても緩く受け入れられたりするんじゃないだろうか。


(でもなぁ……)


 流石の筋肉カイル大佐でも、自分がAIキャラだと知ればショックを受けるんじゃないだろうか。まず、AIという概念が相手に伝わるかも分からないけれど。

 ちょっと可笑しなことにはなっているけれど、私はこの世界が大好きだ。勿論、カイル大佐も。だから不用意に傷つけたくはない。何かを伝えるにしても、言葉は選ばなくては。


「うーん」


 私は唸りながら考え込む。考えすぎて、前を全然見ていなかった。


「コハル、危ないっ!!」


「ふぇっ!?」


 大佐の声で我に返った時には遅かった。私の足元に展開されていた魔方陣が発光する。


「罠だ!! こっちに……!」


 手を差し出してくれた大佐に、反射的に腕を伸ばす。けれど、届かない。


「大佐ああっ!!」


 魔方陣から発生した光は檻のように私を包み込み、次第に大佐の姿も見えなくなっていく。


「コハル、今助ける、気を確かに――」


 最後に聞こえたのは、大佐のそんな叫び声。どうやらその魔方陣は転移用だったらしく、シュンッ!という微かな振動音と共に、私は全く別の場所へと移動させられた。

なんと!続きます!!

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