第97話 勇者よ……外交って理解してる?
魔王城の会議室。
魔王は重い息を吐きながら、書状を勇者の目の前に置いた。
「……勇者。読め」
勇者は紙をじーっと見る。
「えーっと……“人間国は正式に外交代表団を送る。
勇者の処遇に関する話し合いの場を設ける” ……だってさ」
魔王は額に手を当てた。
「……意味は理解できたか?」
勇者は胸を張る。
「おう! つまり――」
魔王(頼む、流石に今回は当ててくれ……)
勇者「“人間国から遊びに来る”ってことだろ?」
魔王「違う!!!!!!」
聖剣『……逆によくそこまで間違えられるな。もうワザとだろ絶対』
勇者「ちがうの!?!?」
魔王は机を指でトントン叩きながら説明した。
「外交代表団というのは、
“戦争か和平かを決める、国同士の正式交渉の場”だ」
勇者「……え、マジで?」
魔王「マジだ」
勇者はワタワタ手を振りだす。
「えぇぇ!?!?
俺、そんな大事なことに巻き込まれてんの!?!」
魔王「巻き込んでいるのは“お前自身”だ。こちらが巻き込まれている側だ」
聖剣『そうだな。勇者お前のせいだ』
勇者「えぇぇぇ!!!!」
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◆そのころ、人間国・外交団の一行
馬車の中で代表団は深刻な空気に包まれていた。
「……勇者様は魔王に洗脳されているのか?」
「だが偵察隊は“幸せそうだった”と……」
「観光客も全員“魔王城のサービス最高”と……」
「……なんだあの魔王国……?」
「下手すると和解した方が国民は喜ぶんじゃ……」
代表「だが王族からの命令は“勇者の身柄確保”だ」
全員「(いや無理だろ……)」
兵士全員の心の声が一致した瞬間だった
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◆魔王城・入念な準備
魔王は外交室の飾り付けに指示を飛ばしていた。
「花を置け。
余計なものは片づけろ。
そして――」
勇者が手を挙げる。
「俺なんか手伝うことある?」
魔王は真顔で言った。
「喋るな。」
「!?」
聖剣『正しい判断だ。全体会話禁止令だな』
勇者「そこまで!?!?」
魔王「前回のお前の言葉のせいで、
“混浴和平案”が広まったのを忘れたか」
勇者「あれは俺なりに平和を……!」
魔王「却下だ」
聖剣『……』
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◆外交団が到着する
城門が開き、緊張した面持ちの人間国代表団が入ってくる。
魔王は堂々と立ち、迎えの言葉を述べた。
「遠路ご苦労だった。
本日は“勇者の処遇”と“国境での平和体制”について話し合おう」
代表団はゴクリと唾を飲む。
「……魔王よ。
我々はまず――勇者が本当に“裏切り者”なのかを確かめたい」
魔王「よいだろう。本人が来る」
扉が静かに開く。
勇者がゆっくりと歩いてきて――
「いらっしゃーい!!
よく来たね!! お茶出す!? 温泉入る!?!」
魔王「言うなと言っただろうがぁぁ!!!!!」
勇者「別に良いだろ!誘うぐらい!」
代表団「確信したぞ!! 完全に仲良しだこれぇぇ!!」
聖剣『何故“外交の第一声”がそれなのだ……』
勇者「あっ……や、やべっ」
魔王「勇者――
国際問題になり得るから言動はあれ程気を付けろと言っただろうが!!!!」
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とある兵士
「……洗脳されてないだろアレ。」




