第96話 勇者よ……人気者だなお前
魔王城前。
今日は朝から、いつもとは違う“騒がしさ”があった。
「キャーッ! 勇者様ぁぁぁ!!」
「魔王様も素敵ーーー!!」
「お湯サイコーでした!!」
魔王城の門の外に、なぜか魔族・人間混合の観光客が列を作っていた。
勇者はポカンと口を開けて呟いた。
「……なんだこれ?」
スライム従業員も困惑して震える。
「ゆ、勇者さん……サイン求められてます……!」
「俺アイドル!?」 魔王はこめかみを押さえていた。
「……勇者よ。
お前、知らぬ間に“観光業界の神”みたいに扱われているぞ」
勇者「なんで!? 俺何もしてねぇのに!!」
聖剣『お前はただ生きてるだけで事件や事故、変な現象を引き起こすからな』
「褒めてないよな今!?」
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◆列の先頭の客が勇者に駆け寄る
若い女性客「勇者様!! 肌ツルツルですね!!」
勇者「ありがとう! 温泉すげぇよな!!」
女性客「きゃーーー!!
“勇者様のスキンケア術まとめ”って本にします!!」
魔王「勝手に本にするな。許可していない」
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◆さらに別の客
老人客「勇者殿! 凄いですなこの温泉は!腰に効く!!」
勇者「マジですか!? 俺、腰痛持ちじゃないけど嬉しい!!」
老人客「儂の村にも支店を出してくれ!!」
魔王「温泉をチェーン化するな」
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◆さらに別の客
冒険者風の男「勇者さん!! 俺、勇者さんのファンで!!
温泉経営のノウハウ教えてください!!」
勇者「ノウハウって……俺まだ日数で言えば数日だぞ!?てかあなた……冒険者の身なりしてるけど経営者なんか?」
魔王「お前の発言は確かに正しいが、人気が止まらんのだ……」
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◆そのころ、人間国
王城会議室。
「報告します!
勇者様の温泉が人間国で“聖地巡礼スポット”扱いされています!!」
王「聖地!?!?!?」
「“勇者様の入った湯船に入れる”として
若者が次々と魔王領に向かっております!!」
王「止めろ!! 国境を封鎖しろ!!」
側近「しかし民が“勇者様を返せ!”“戦争反対!”とデモ行進を……」
王「ぐぬぬぬぬぬ!!」
軍の将校は小声で呟いた。
(……裏切り者扱い、もう無理だろ……)
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◆再び魔王城
勇者は観光客の波に押しつぶされそうになっていた。
「わぁぁぁぁ!! 魔王助けて!!」
魔王がようやく勇者を人波から引き剥がし、額を押さえる。
「勇者……お前の人気度は高すぎる。
いい加減“自覚”というものを持て……」
勇者「え!? 俺そんなにすげぇの!?」
魔王「すごいというより……厄介だなぁ」
聖剣『この調子だと、人間国も魔王国も和平せざるを得ないぞ』
勇者「それ平和的にはいいやつじゃね?」
魔王「いや……このまま行くと混乱の方が大きくなるだろう。」
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◆そのとき、魔王城に一通の書状が届く
スライム配達「まおーさまー! お手紙ですー!」
魔王は受け取り、封を切る。
「……人間国からの“外交代表団派遣の通達”だ」
勇者「え? 俺に会いに来るの?」
魔王「お前の扱いが完全に“外交カード”になっている。
最悪、戦か和平かを分ける存在だ」
勇者「……俺、ただ温泉掃除してただけなんだが?」
魔王「だから言ってるだろう。
“お前は生きてるだけで国際問題なんだ” と」
勇者「俺は特級呪物なんかじゃない!!」
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投稿が遅くなり申し訳ございません。
母の体調が悪くなり、実家に急遽帰省していました。
ご理解いただけるとありがたいです。




