第87話 勇者よ……社員を雇うなよ
「よし! 新・勇者インダストリー、正式に求人開始!」
勇者は街角にポスターを貼りながら満面の笑み。
【募集要項】
給料:応相談(※出ない可能性あり)
福利厚生:笑顔と希望
勤務地:魔王城(たまに燃える)
条件:楽しく働ける方
「……怪文書か?」と通りすがりのオークが呟いた。
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翌日。
勇者の机の上には、まさかの応募書類の山。
「やばい! めっちゃ応募来てる!!」
「この世に物好きが多すぎるな」魔王が頭を抱える。
勇者は一枚目を開く。
「《応募者:リッチ(元死霊術師) 志望動機:暇つぶし》」
「不採用で」
二枚目。
「《応募者:バンシー 志望動機:叫び声を活かしたい》」
「職場が地獄絵図になるだろ」
三枚目。
「《応募者:魔界の税務職員》」
「二度と来るなぁぁぁ!!!」
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面接当日。
魔王が横に座り、面接官モード。
「では順に自己紹介を」
「ワタシ、スライム! 掃除得意!」
「お前はもう社員だろ!」
「ボク、吸血鬼。夜勤希望!」
「うち昼間しか営業してない!」
「私、元聖女。癒し担当!」
「なんで聖女がここに?!勇者のトラウマが爆発するからやめろぉぉぉ!!!」
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面接が終わるころ、勇者は机に突っ伏していた。
「……これが“人を雇う”ってやつなのか……」
「そうだ」魔王が紅茶を置く。
「人を選ぶとは、責任を選ぶということだ」
勇者は少し顔を上げる。
「責任、ねぇ……。俺、まだその重さが分かんねぇな」
「ならば今は、それでいい」魔王が微笑む。
「お前は誰かを雇うより先に、自分を信じられるようになれ」
勇者は少し照れくさそうに笑った。
「……あー、やっぱり俺、経営向いてねぇな」
「知ってた」
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勇者、採用活動でまたも地獄。




