第78話 勇者……人事評価をつける
「さて、みんな! 今日は半年に一度の“人事評価会議”だ!」
勇者が胸を張る。
魔王城の会議室には、研修を終えた(はずの)新人たちが並んでいた。
「えー……まずスライム、お前の評価からだ!」
「はいっ! 私は毎朝自主的に床掃除を!」
「でも三回は床溶かしたよね?」
「えへっ☆」
「えへっ☆じゃねぇ!!!」
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続いて妖精。
「妖精、お前は……仕事はできるけど口が悪すぎる!」
「それも才能でしょ? コミュニケーションって大事よ」
「お客様に“うっせぇバーカ”は違うだろ!!!」
「愛のムチです♡」
「何処が愛だそのムチ!!」
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ミノタウロスが腕を組みながら言った。
「オレはどうだ?」
「うん……掃除時間の半分筋トレしてた」
「効率化だ」
「掃除にに効率いらねぇよ!!」
魔王が静かに紅茶を置いた。
「勇者。評価とはな、“好き嫌い”でつけるものではない」
「分かってるわ! 俺、公平にやってるつもりだ!」
「……すでに偏りしか感じんのだが」
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勇者は真剣な顔でメモを取る。
「じゃあ次……元盗賊のバルド!」
「へい」
「えーっと、お前は仕事中に三回消えたな」
「消えてたんじゃねぇ、偵察してただけだ」
「この仕事に偵察は必要ねぇよ!!」
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会議は完全に混乱。
「勇者よ……ちなみにだがお前の言う評価とは何を基準にしている?」と魔王。
「うーん、なんか……“ノリ”?」
「…お前、最悪の上司だな」
勇者は立ち上がり、みんなに叫ぶ。
「でもな!結局、俺はみんなが笑って働ければ、それでいいと思ってる!」
「……評価とは、数字じゃないってことか?」スライムが呟く。
「そうだ! この会社に必要なのは心の成績だ!!」
妖精がにやりと笑う。
「じゃあ私、SSランクね♡」
「ふざけんな!お前だけはE−だぁぁぁぁ!!!」
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勇者、少しだけ“上司の顔”になっていた。




