第77話 勇者……新人研修を開く
「えー、本日から勇者インダストリーに入社するみんな! ようこそ!!」
勇者は壇上で満面の笑みを浮かべていた。
その目の前には――独特な新人たち。
・掃除のつもりで床を溶かすスライム
・口が悪すぎる妖精
・筋トレしか頭にないミノタウロス
・そして、なぜか応募してきた元盗賊団の参謀
「……勇者、これは会社というより闇ギルドだな」魔王がぼそっと呟く。
「大丈夫! 俺、教育マニュアル完璧だから!」
「……」
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勇者は胸を張って言った。
「では早速、“新人オリエンテーション”を始めます!」
「まず会社理念! “血と涙で磨き上げる、君の明日”!」
「うっわ、ほんとに似非宗教っぽい」妖精が小声で呟いた。
「うるさい、やる気を出せ!やる気を!」
「やる気はあるけど信仰心はないわよ?」
「信仰じゃねぇって言ってるだろ?!!!」
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次のコーナーは「実践研修」。
勇者はモップを持ち上げる。
「では各自、実際に掃除をしてもらいまーす!」
スライムが床に広がり、ミノタウロスが床を叩き割り、
妖精はホコリを見つけて炎魔法をぶち込む。
「いや破壊すなってぇぇぇ!!!」
勇者が悲鳴を上げる横で、魔王が腕を組む。
「……お前の教育の成果、見事だな」
「こっ……これは成長痛みたいなもんだ!」
「組織崩壊痛の間違いだろ」
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その日の昼。
休憩室では新人たちが自由に話していた。
「うちの会社、なんか楽しいな」スライムが笑う。
「上司がバカだと気楽だよね」妖精が頷く。
「バカ聞こえてるからな!?!?」勇者が即座にツッコむ。
魔王は遠くで紅茶を飲みながら微笑んだ。
「……まぁ、少なくとも笑い声がある職場は悪くない」
「魔王さま……それ褒めてます?」
「皮肉だ」
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その夜。
勇者はボロボロになりながら机に突っ伏した。
「はぁ……これが“人を育てる”ってことなのか……」
聖剣がそっと言った。
「勇者よ、混乱の中にしか成長はない」
「……俺も混乱してるけどな」
「ならば一番成長しているのはお前だ」
勇者は思わず笑った。
「……じゃあ次は“研修修了試験”だな!」
「……」
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勇者、地獄の新人研修を終える!




