第58話 勇者よ……節約を覚えな
レシートが存在しない世界に衝撃を受けた勇者。
そんな彼に魔王が突きつけた新たな現実――それは“節約”。果たして、浪費癖の居候勇者に金銭感覚は芽生えるのか?!
作者(多分無理だと思うなぁ)
魔王城の応接間。
テーブルの上には一枚の羊皮紙が広げられていた。
「これは……家計簿?」勇者が眉をひそめる。
「そうだ」魔王は冷静に答えた。
「お前が自由に使える予算を管理するための帳簿だ」
「予算……って、俺そんなに使ってた?」
「昨日、ピーマンだけで金貨三枚だ」
「えっ!? ぼったくりだろそれ!」
「お前が“最高品質のピーマンください!”と店主に言ったからだ」
勇者は頭を抱えた。
「うぅ……前世ではスーパーで100円だったのに……!」
「異世界換算で三万倍だな」聖剣がぼそりと呟く。
「……」
「……」
「泣いていい?」
魔王は無視して続けた。
「いいか、節約とは我慢ではない。知恵だ」
「知恵?」
「そうだ。たとえば肉の切れ端を集めて煮込めば立派なスープになる。
古布を縫い合わせれば雑巾にもなる」
「え、リサイクル! エコロジーだ!」
「言葉はわからんが、やっていることは同じだ」
勇者は感心してうなずいた。
「すげぇ……魔王、意外と主婦力高いな!」
「主婦ではない。王だ」
しかし次の瞬間――。
「……ところで勇者。昨日、何にこの金貨十枚を使った?」
「あっ、それは――あの、ゲームの限定スキンが……」
「スキン?」
「いや違う! 着せ替え装備的な! 外見だけ強そうになるヤツ!」
魔王は目を閉じて深呼吸した。
「……勇者よ。節約を学ぶ前に、まず現実を学べ」
聖剣は静かにため息をついた。
(……この男に家計簿をつけさせるより、魔物に経済学を教えた方が早いだろう)
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勇者、節約という概念と初対面。
お金よりも現実感が足りない居候生活は、まだまだ続く。
次回――「勇者よ……副業を始めたらどうだ?」。
節約の次はまさかの収入源!?




