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『勇者よ、常識を見ろ』シリーズ  作者: 深森あい


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第43話 勇者よ……家計簿をつけろよ

城下町で散々目立った勇者。

魔王から次に課せられた試練は――お金の管理。

兵器として育てられた彼にとって、数字との戦いは最大の難関だった。


予約投稿の日付を間違えていて投稿出来ていませんでした!申し訳ない!

 魔王城の執務室。

 机の上には、買い出しの品と共に渡されたレシートや小袋の硬貨が散乱していた。


「よし勇者、今日からお前は家計簿をつけてもらう」

「えぇぇ!? なんで俺が!?」

「居候(ニート&ヒモ)だからだ」魔王は淡々と言い放つ。


「剣は振れても数字は振れねぇんだよ俺はぁ!」

「言い回しが変だぞ」


 渋々ペンを持つ勇者。

だが――。


「えっと……魚、100ゴールド。パン、……って無料!? なんだこれ!?」

「魔王様のお使いだからサービスされたのだろう」聖剣が淡々と答える。


「そ、そういうのどう記録すればいいんだ!? ただで貰ったパンは“幸運”って書いていい!?」

「やめろ。会計簿に縁起担ぎを混ぜるな」


 さらに数字が並ぶと勇者の頭は完全に混乱する。

「……50と30を足して……うわぁ! 桁がずれてる! 誰かセーブ&ロード!」

「人生はやり直せん」魔王が冷たく言い捨てる。


 最後には勇者が頭を抱えて叫んだ。

「俺は兵器として育てられたんだ! 数字に育てられたわけじゃないんだぁぁ!」


 そんな情けない姿を見て、魔王はため息をついた。

「……やはり人として生きるにはまだまだ遠いな」

「うぅ……日常って、戦場より過酷すぎる」


 机の端で聖剣がひそかに思った。

(……コイツ、またやらかすんだろうなぁ)

勇者、家計簿の前に撃沈。

戦場では無敵でも、数字には完敗だった。

次回――「勇者よ……貯金を覚えろよ」。

財布の中身は、明日を生きる力である。

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