第4話:勇者よ……アポ取れよ
今回は「事前連絡」の大切さ。
魔王にも魔王の生活がある! 勇者の突然の突撃はもう限界!?
生活感あふれる魔王と空気読まない勇者のすれ違いコメディ、第4話です。
魔王城の応接室。
魔王は紅茶をすすりながら、分厚い革張りの手帳をめくっていた。
そこへ――。
バァァァァン!!!
「魔王ォォォ!! 今日こそ貴様を――」
『うるせぇぇぇ!!』
手帳を机に叩きつけ、魔王が立ち上がる。
『お前なぁ……今日、戦闘の予定なんて入ってねぇんだよ!!』
「……予定?」
『ほら見ろ!』
魔王は手帳を突きつけた。
そこにはびっしりと予定が書き込まれている。
午前10時 配達受け取り
正午 昼食
午後2時 歯医者
午後5時 夕飯の買い出し
午後8時 風呂
午後11時 読書タイム
『なぁ勇者、このどこに“魔王討伐”って書いてあるんだよ!?』
「……いや、スケジュール帳に書かれても……」
『我輩だって忙しいんだよ!! 勇者が来るなら来るで、心の準備ってもんがあるだろ!?』
「でもさ、魔王討伐ってサプライズ感が大事じゃん?」
『サプライズ討伐って何だよ!? 誕生日か!?』
勇者は気まずそうに頭をかいた。
「……じゃあさ、今度から事前に連絡する?」
『そうしろ!! せめて三日前までに“討伐申請書”出せ!!』
「え、紙で? メールじゃダメ?」
『デジタル苦手なんだよ我輩は!!』
沈黙のあと――。
「……じゃあファックスで送るわ」
『お前、思った以上に古風だな』
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最後まで読んでくれてありがとう!
討伐にすらアポが必要な時代が来るとは……。
このシリーズ、どんどん現代的になっていく気がします。
次回は「勇者よ……BGMくらい流せよ」でお会いしましょう。
また、更新頻度についてお知らせです。 現在投稿中のすべての作品は、2〜3日に1話のペースで全作品同時に更新していきます。 どうか気長に、そして楽しみにお待ちいただければ幸いです。