第39話 勇者よ……たまには役に立てよ
「居候(ニート&ヒモ)」の肩書きが定着した勇者。
だが今回は、そんな彼に珍しく出番が――!
朝の魔王城。
大広間には魔王と家臣たちが集まり、次々と報告が飛び交っていた。
「陛下! 倉庫の荷物が崩れ、兵士が手をつけられぬ状況です!」
「人手不足で……」
魔王は顎に手を当て、考え込む。
「……ふむ。誰かに任せねば」
勇者が勢いよく手を上げた。
「よっしゃ! ここは俺がやる! 勇者の名にかけて!」
「……信用できん」即答する魔王。
だが勇者はすでに走り出していた。
「見てろ! 俺の実力を!!」
倉庫に着いた勇者は、崩れた木箱を前に仁王立ち。
「勇者として鍛えられてきた俺の力……今こそ役に立つ!」
勇者は全力で木箱を担ぎ上げ、積み直していく。
「おぉ……」兵士たちがざわめいた。
「本当に役に立ってるぞ……」
勇者は額に汗を光らせながら振り返る。
「どうだ! 俺だってやればできる!」
「ふむ、少し見直したぞ」魔王も思わず頷いた。
――その瞬間。
勇者が最後の木箱を持ち上げようとした拍子に、足元のバランスを崩した。
「うおおお!? やばっ!」
ドガアアアアン!!!
積み直した木箱の山が、見事に再び崩壊。
「ぎゃあああ! 俺の努力がぁぁぁ!」
「……結局、被害が倍増したな」魔王がため息をつく。
「勇者兼、居候(ニート&ヒモ)兼、歩く人災だな」聖剣の追い打ち。
勇者は瓦礫の下で泣き叫んだ。
「俺、なんで毎回こうなるのぉぉ!!」
勇者、久々の「役立ちそうな場面」――だったのに大失敗!
居候(ニート&ヒモ)の肩書きに、新たに「歩く人災」が加わってしまった。
次回――「勇者よ……幸せになれよ」。
彼の過去と、不器用さの理由が明かされる。




