第37話:勇者よ……証拠を隠すなよ
魔王城の廊下を、勇者は汗だくで走っていた。
「やばいやばいやばい! 昨日の買い物の残骸、まだ片付けてねぇ!」
自室に駆け込むと、机の上に散乱しているのは――空き袋、ガチャのカプセル、そして半分食べかけのプリン。
「まずい……これ見られたら完全に“引きこもりヒモニート”確定じゃねぇか!」
勇者は慌てて袋を抱え込み、押し入れに突っ込んだ。
「よし、これで……」
だが扉が閉まらず、ガチャカプセルがボトボトと転がり出る。
そこへ静かな声が落ちた。
「……勇者」
「ひぃっ!」
振り向けば、魔王が腕を組んで立っていた。
「何を隠した?」
「な、何も!? 今のは地震で勝手に……」
「ここは魔界だ。地震は滅多に起こらん」
魔王は指を軽く弾いた。押し入れの扉が勝手に開き、中身が雪崩のように床へ散らばる。
プリン、ポテチ、ガチャの山、さらには「勇者使用中」と書かれたマグカップまで。
「……」魔王は無言で勇者を見下ろした。
「ち、違うんだって! これは証拠隠滅とかじゃなくて、単なるコレクション!」
「なら堂々と飾ればよい」
「飾ったらもっとバレるだろ!!」
聖剣まで冷ややかに口を開く。
「勇者よ、隠すという行為そのものが、お前の罪を浮き彫りにしておる」
「ぐっ……お前まで裁判官みたいなこと言うなぁ!」
そこへ、城下町から届く声。
「聞いたか? 勇者、魔王城でプリン隠してたらしいぞ!」
「勇者ヒモってホンマか?」
「今度はマグカップだって!」
「もうヒモ確定じゃねぇか!」
「勇者って人間の国で王女に手を出して逃げて来たらしいぞ!」
どうやら誰かが告げ口したらしい。
ん?おい後半は捏造だぞ!?
勇者は床に突っ伏し、叫んだ。
「なんで俺の魔王城ライフ、外に筒抜けなんだよぉぉ!!」
「愚かだからだ」聖剣は淡々と告げる。
「それと勇者、1週間以内に役に立たなかったら追い出すからな」魔王も淡々と告げた。
次回――「勇者よ……もう観念しろよ」。
そろそろ常識学んでくれ...




