第36話:勇者よ……言い訳して誤魔化すなよ
翌日。
勇者は市場のど真ん中で取り囲まれていた。
「なぁ、本当に勇者なのか?」
「なんで魔王様と一緒に住んでるんだ?」
「ヒモなのかな……?」
勇者は慌てて両手を振った。
「ち、違うんだって! これはただの一時的な同居で――」
「同居!?」群衆がざわめく。
「いや違う! 同居っていうか……下宿? いや下宿でもなくて……その……ホームステイ?」
「勇者が魔王城にホームステイ!?」
「どんだけ仲良しなんだよ!」
勇者はさらに焦り、しどろもどろになる。
「ち、違う違う! 俺は潜入調査をしてるだけで! そう! 敵の城に潜り込んで内部を暴いてるんだ!」
「じゃあなんでポテチ三袋買って帰ってたんだ?」
「……」
勇者は完全に黙り込む。
魔王が横からぼそっと言った。
「潜入調査のくせに、冷蔵庫にプリンを隠すな」
「言うなぁぁぁ!」
その時、例のスピーカーが市場の鐘と連動したようにピッと光る。
――運動会BGM。
街全体に響き渡るその曲に合わせ、人々は勇者を指差した。
「やっぱり怪しいよな」
「勇者なのに常識がない」
「勇者なのに魔王の居候」
「勇者なのにBGM付き」
「魔王様×勇者!!……推しカプ出来たかも(ボソッ)」
「BGMは俺のせいじゃねぇぇぇ!!」勇者は頭を抱えた。
「なんか悪寒したんだが……我の勘違いか?」
勇者は最低!!
魔王様……多分勘違いではありません!!




