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『勇者よ、常識を見ろ』シリーズ  作者: 深森あい


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33/106

第33話:勇者よ……夜くらい寝かせてくれ

深夜一時。

勇者は“ゲーマータイム”を満喫中。

だが魔王も老竜も聖剣も――ただ一つ願っていた。

「夜くらい、寝かせてくれ」。

リビングに青白い光が漏れていた。

勇者はコントローラーを握りしめ、立ち上がって叫ぶ。

「よっしゃぁぁ! クリティカルヒット!!」


「……勇者」

背後から低い声。振り返ると、パジャマ姿の魔王が寝ぼけ眼で立っていた。


「お前、今何時だと思っている」

「え? えーっと……俺の活動開始時間?」

「深夜一時だ」

「ゲーマータイム!」

「……夜くらい寝かせてくれ」


勇者は慌てて手を振った。

「いやでも! これなかったらストレスで死ぬって! 俺の命の維持装置なんだよ!」

「我が城をゲームセンター扱いするな」


聖剣が壁際からぼそっと呟く。

「勇者よ……寝不足で剣を振れなくなったらどうする」

「ゲームの中では振れてるから大丈夫!」

「そういう問題ではない」


さらに階下からドンドンと壁を叩く音。

「静かにせんかぁぁ! 眠れんわぁぁ!」

隣人の老竜の怒声が響く。


そしてタイミング悪く、スピーカーがピッと光った。

――運動会BGM……ではなく、重苦しい死のレクイエムがゲームの効果音と混ざって流れ出す。


「うおお! なんかヘルモードに強制的になってるんだけど!?」

「勇者。静かにしろ」魔王の声は氷のように冷たかった。

「無理だぁぁぁ! 死ぬぅぅぅ……あっ死んだ!」


コントローラーを握ったまま大袈裟に崩れ落ちる勇者。その頭を、魔王が無言で鷲掴みにした。


魔王の声は低く、静かで、そして怒りに震えていた。

「勇者。肝に銘じろ。

 お前はただの居候だ。役立たずで、我に負担をかける存在にすぎん。


 だが私は魔王であり、一国を治める王でもある。

 昼は政務、夜は軍務、民の不安を鎮め、戦場に立つこともある。

 余裕など欠片もない。唯一休めるのは――束の間の眠りだけだ。


 その静寂までもお前の馬鹿騒ぎと意味不明な音楽に奪われ続けてみろ。

 心底うんざりするのだ」


勇者の額に指が触れ、軽く弾かれる。

「だから命令する。静かにしろ。ここは我が“城”であって、お前の遊び場ではない。


 次に我が眠りを妨げたら――追い出す。

 いや、それでは済まさん。

 その時は本気で、お前を斬る」


リビングに漂う空気は凍りついたようだった。

勇者の喉がゴクリと鳴る。


「……お、俺……死刑も魔王と戦うのも嫌だ……でも……ゲーム……」

「我をゲームと天秤にかけるな」


沈黙の後、勇者はしゅんと肩を落とした。

「……わかったよ。音小さくする。……いや、ちゃんと寝るよ。夜くらいは」


魔王は短く頷き、背を向けた。

「よろしい。忘れるな。ここは我が“城”だ」


勇者はソファに沈み込み、ぼそっと呟いた。

「……なんか、実家より説教きついんだけど……」


去り際に魔王は淡々と答えた。

「実家より居心地がよいから、まだここに居るのだろう?」


勇者は口を閉ざし、ただレクイエムの余韻に震え続けた。


「次は無い」

……そろそろ私(作者)が勇者にイライラしてきた。


次回「???」

デュエルスタンバイ!!

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