第31話:勇者よ……洗濯で色を分けろよ
家賃代わりの労働、第三弾は洗濯。
だが勇者は“色分け”の常識すら知らなかった――。
魔王城の中庭に干された洗濯物は、見事にピンク色だった。
白いローブも、真紅のマントも、下着に至るまで全部同じ色。
「……勇者」
背後で魔王の声が低く響く。
「な、なぁ魔王……これはこれで統一感あって良くね?」
「良くない!」
勇者は必死に手を振る。
「だって! 一気に洗った方が早いと思って! 白と赤を一緒に入れたらこうなるなんて知らなかったんだよ!」
「小学生でも知っておるわ!」
聖剣までピンク色に染まり、恨めしげに震えた。
「勇者よ……我を何色にしたと思っている……」
「お前は似合ってるだろ!? ファンシーな聖剣ってアリじゃね!?」
「あり得ん!」
その時、洗濯機の横にあるスピーカーがピッと光った。
――流れ出す運動会BGM。
しかし今回は、やけに明るい合唱付き。
「♪走れ走れ勇者ぁ~ 分けろ分けろ洗濯ぅ~」
「歌詞ついてるじゃねぇかぁぁぁ!!」
「……呪いにすら馬鹿にされとるな」魔王は額に手を当てた。
勇者はピンクのローブを掴んで頭を抱える。
「……俺、もうどんだけ居候丸出しなんだよ……」
勇者、洗濯失敗で魔王城の衣類すべてがピンクに。
BGMはついに歌付きで追い打ちをかける。
次回――「勇者よ……買い物で余計な物を買うなよ」。
居候勇者、生活スキルは壊滅的。
いや勇者……マジで何をしてもダメだな。魔王可哀想




