第28話:勇者よ……対価を払うのだ
「ただいま」と言ってしまった勇者。
今度は魔王から“居候の義務”を突きつけられる。
その名も――家賃問題!
魔王城の居間。
魔王がテーブルに帳簿を広げていた。
「勇者、そろそろ話をしよう」
「え? なんかやだなその入り」
「居候である以上、対価を払え。――つまり家賃だ」
「はぁぁ!? 俺勇者だぞ!? 討伐に来てんだぞ!?」
「討伐など忘れて居座っておる時点で居候だ。光熱費、食費、雑費……全て我輩の持ち出しだ」
勇者は頭を抱えた。
「無理無理! 俺に金なんかないって!」
「なら働け」
「えぇぇぇ!?」
「何を驚く?常識だろ」
「ウッ……」
聖剣が壁際から口を挟む。
「勇者よ、そなたの労働価値はゼロに近いが……掃除、炊事、洗濯くらいは可能であろう」
「ひどっ!!聖剣まで!!」
「こればっかりはお前が悪い」
魔王は帳簿を指差しながら冷静に告げる。
「ではこうだ。家賃代わりに、週三回の風呂掃除。食器洗いは毎晩。さらに――プリンには手を出すな」
「最後だけ金銭関係ないじゃん!!」
勇者が泣きそうな顔をしたその時、台所のスピーカーがピッと光った。
またもや運動会BGMが流れ出す。
「……あれ? 今の音量、いつもよりでかくね?」
「……気のせいではないな」
窓の外を見ると、城の庭にまで音楽が響いていた。
「なぁ魔王……これ、もしかして隣人とかにも聞こえてんじゃない?」
「……そうかもしれん」
「だったら俺ら、もう完全に怪しまれてるだろ!!」
勇者は叫び、頭を抱えた。
魔王は帳簿を閉じ、静かに言い放った。
「家賃を払わぬ居候の悲鳴こそ、最も無駄な騒音だ」
家賃をめぐる攻防。
勇者は金欠ゆえに労働で返すことに。
次回――「勇者よ……掃除でサボるなよ」。
居候の義務は想像以上に優しかった。




