第27話:勇者よ……ただいまと言うなよ
処刑台から脱獄し、図々しく魔王城へ帰還した勇者。
しかし「ただいま」の一言が、魔王の逆鱗に触れる。
「ただいまぁぁぁ!」
勢いよく魔王城の扉を開けた勇者の声が、廊下に響いた。
「……勇者」
奥から現れた魔王が、腕を組んでにらみつける。
「お前、今なんと言った?」
「え? “ただいま”」
「……居候が帰宅の挨拶をするな。ここは貴様の家ではない」
「いやだって! 俺もう処刑されかけて! 逃げ帰って来て! 心の底から“ただいま”って思ったんだよ!」
「その感覚が既におかしい」
聖剣が壁に立てかけられ、くすくす笑う。
「勇者、もはや討伐どころか“帰宅”の気分なのだな」
「黙れぇぇ!」
魔王は深いため息をつき、ルール帳を開いた。
「新たに加える。
一、“ただいま”禁止。
二、“おかえり”を求めるな。
三、居候は居候らしく謙虚でいろ」
「理不尽だぁぁ!」
勇者が頭を抱えて叫んだ瞬間、廊下のスピーカーがピッと光る。
またもや運動会BGMが流れ始めた。
「なぁ魔王、これ……俺が帰って来るたびに鳴ってないか?」
「……確かに」
「じゃあもう完全に“帰宅センサー”じゃん!!」
勇者は叫びながらソファに崩れ落ちた。
魔王は冷ややかに告げる。
「勇者。貴様の帰宅が、我輩にとって騒音そのものだ」
「理不尽だ!」
「なら出ていけ。ここは私の家だ。勇者、お前はただの居候だ。……分かるよな?」
「……申し訳ございませんでした。」
「ただいま」一言で居候バレバレの勇者。
もはや帰宅宣言が日常に。
次回――「勇者よ……対価を払うのた」。
居候生活は、さらに図々しさを増していく………かも?




