第22話:勇者よ……国に帰れば裏切り者だぞ
魔王城で居候を続ける勇者。
しかしその生活は、国の目には“裏切り”としか映らなかった。
勇者、ついに捕縛の危機――。
その日、勇者はふと思い立ち、久々に国の街へ顔を出すことにした。
「ちょっと買い出しだよ。魔王城にも味噌とか調味料いるしな」
軽い気持ちで出かけた勇者だったが、街の空気は重く張りつめていた。
道を歩けば、村人たちの視線が突き刺さる。
「……あいつだ」「魔王と仲良くしてるらしいぞ」
「裏切り者だ」
子どもまでもが、指さしてひそひそ声をあげる。
「え、な、なんで俺が悪者扱い……? ただ居候してるだけなのに!」
勇者が慌てる間もなく、鎧をまとった兵士たちが前に立ちふさがった。
「勇者、お前を拘束する」
「はぁ!? なんでだよ!」
「貴様、魔王と行動を共にしているな。街でも目撃されている。これは裏切りだ!」
「いやいや、俺は討伐……えっと、ちょっと忘れてたけど、討伐に来てんだよ!」
「自白したな!」
兵士たちは剣を抜き、勇者を取り囲む。
聖剣が背中で叫んだ。
「勇者! どうする!?」
「どうするって……俺まだプリン食ってないのに!」
「そこじゃない!」
勇者は必死で両手を振る。
「誤解だって! 魔王とは戦って……いや戦ってないけど! でも仲間でもないから!」
「言い訳は陛下の前で聞こう」
がしゃん、と勇者の両腕に鎖がかけられた。
兵士たちは容赦なく引き立てる。
街の人々は冷ややかな目を向け、勇者の心臓はずしんと重くなった。
(マズい……俺、本当に裏切り者扱いされてる……!)
その時――
遠くの空から、あの運動会BGMが風に乗って響いた。
兵士も村人も一斉に振り返り、ざわめきが広がる。
「な、なんだこの音楽は……魔王の呪いか!?」
「合図だ! 勇者はすでに魔王の配下だ!」
「ち、違う! これはただのバグなんだぁぁ!!」
勇者の必死の叫びは、誰にも信じられなかった。
ついに勇者、国から“裏切り者”として捕縛。
魔王との生活は、周囲には疑惑そのものに映ってしまった。
次回――「勇者よ……鎖に繋がれるなよ」。
笑えぬ現実が、勇者に迫る。
割と勇者まずいかも、、?




