第20話:勇者よ……来客にちゃんと挨拶しろよ
居候生活が板についた勇者。
しかし今回は来客対応で大失態。
魔王城の「ご近所付き合いルール」が炸裂する――。
昼下がりの魔王城。
インターホンの魔晶石が「ピンポーン」と鳴った。
「おっ、誰か来たな!」
勇者が勢いよく玄関を開ける。
そこには、隣に住む老竜が立っていた。
「よお、シチューの香りがしたからおすそ分けに来たんだ」
勇者は腕を組み、にやっと笑った。
「おぅ……よく来たな! ありがたく受け取ってやろう!」
老竜の表情が一瞬で険しくなる。
「……なにその態度」
魔王が後ろから出てきて深く頭を下げた。
「わざわざすまないな、老竜。ありがとう」
勇者がきょとんとしていると、魔王が低く言った。
「勇者。お前、来客への第一声は“よく来たな”ではない。“こんにちは”だ」
「え、そうなの? 俺なりに歓迎したつもりなんだけど」
「それは討伐前の魔王への口上だろうが」
聖剣もため息。
「勇者よ、常識を見ろ。来客にはまず挨拶だ」
勇者は慌てて頭を下げる。
「こんにちは! シチューありがとう!」
老竜はようやく笑い、皿を差し出した。
「次からはちゃんと挨拶してくれよな」
「は、はい……」
魔王は勇者を横目でにらみつつ、ルールを追加した。
「一、来客にはまず挨拶。
二、荷物は両手で受け取る。
三、礼はきちんと言葉で返す。」
「……俺、どんどん小学生みたいになってない?」
「成長過程だ」
そのとき、シチュー皿の奥から小さく音がした。
――またもや運動会BGM。
しかも今度はスプーンを伝って響いている。
「え、食器から鳴ってるんだけど!?」
「……感染範囲が拡大しているな」魔王がつぶやく。
「BGMウイルスかよ! 俺らもう引っ越した方がよくない!?」
来客には挨拶、礼儀が第一。
しかし止まらぬBGMの謎は、生活の隅々へと広がっていた――。
次回タイトルは――未定です。
何になるか分かりませんがお楽しみに!




