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『勇者よ、常識を見ろ』シリーズ  作者: 深森あい


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第13話:勇者よ……家賃って知ってるか?

二週間の居候生活。

ついに魔王が切り出す「家賃問題」。

勇者は金を払えるのか、それとも働かされるのか――。


 魔王城のリビング。

 勇者はソファでくつろぎ、焼き立てのトーストを頬張っていた。

 隣では聖剣が壁に立てかけられ、魔王は机に帳簿を広げている。


「勇者。お前に問う」

「ん? なに?」

「――家賃って知ってるか?」


「へ? あ、いや……討伐に来てるんだから、宿代とか要らなくない?」

「要る!」

 魔王は机を叩いた。

「我輩の家で寝て食って風呂に入り、電気魔法を使い、洗濯機まで回している。タダで済むわけがない」


「えー……俺、勇者だし」

「勇者の称号は領収書で割引されん!」


 聖剣がぼそりと呟く。

「勇者、財布の中身は?」

「……銅貨三枚」

「終わったな」


「だから言っただろ。金がないなら、働いて返せ」

 魔王は指を折る。

「掃除当番、洗濯物たたみ、ゴミ出し、風呂掃除。全部やれ」

「多っ!?」

「これでも安い方だぞ。宿代相場は一日銀貨一枚だ」


「……じゃあ、俺が“勇者”って肩書きで宣伝してやるよ! “魔王の城に宿泊中!”って」

「それは営業妨害だ」


 勇者は渋々、モップを手に取った。

「勇者なのに……討伐より掃除の方が仕事ってどうなんだ」

「生活は最強の修行だ」


 そのとき、隣の老竜の声が聞こえた。

「おーい! ゴミ出しは火曜だぞー!」

「はいー!」勇者が元気に返事をする。


「……もう完全に住民扱いではないか」

 魔王は頭を抱えた。


 だがその瞬間、スピーカーが勝手に鳴り出した。

 ――運動会のBGM。


「魔王、マジで直せって! 掃除が競技になる!」

「……次の課題は“自動再生設定の討伐”だな」

勇者、ついに「家賃」という現実に直面。

金はなくとも労働で返す。

次回は――「勇者よ……風呂掃除はちゃんとやれよ」。

居候修行、さらに続く!

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