記念すべき第100話!勇者よ……働くなと言っているだろう!!
魔王領・温泉施設。
勇者は朝からやる気満々だった。
「よーし! 掃除して〜、配管点検して〜、露天の石も磨く!」
聖剣『お前、労働禁止令が出ているのを忘れたのか?』
勇者「いやいや、俺は“自主的に”働いてるだけだから!」
その瞬間、背後から冷気が走った。
「――勇者」
魔王がいた。
今日の魔王は、珍しく 目が笑っていない。
「お前、何をしている?」
勇者「えっ? 見りゃわかるじゃん! 仕事!」
魔王「……休めと言っただろう」
勇者「でも俺、働いてると落ち着くんだよ!」
魔王「黙れ。これは命令だ。
働くな。今すぐ湯に浸かれ。」
勇者「ええええぇぇ!?!!?」
聖剣『……次回勇者死す!!デュエルスタンバイ!』
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◆魔王、ついに“勇者労働監視制度”を導入
魔王は側近を呼んだ。
「勇者を監視しろ。
一日三回以上働こうとしたら報告だ」
側近「了解いたしました!」
勇者「なんで俺を犯罪者みたいに……!」
魔王「お前は悪質な再犯者だ。
昨日も“隠れて薪割り”していただろう?」
勇者「見てたの!?」
魔王「見てなくてもわかる。薪の量が増えていた」
聖剣『…懲りないねぇ』
魔王はさらに言った。
「そして――人間国から正式通達が来た」
勇者「え、また!?」
魔王は書状を開く。
「“勇者様の無理な労働を禁じ、
魔王領は引き続き療養を徹底されたい”」
勇者「国公認でニートしろと!!?」
魔王「違う。お前は“保護対象”だ。
だから――」
魔王は指を差した。
「働こうとしたら、私が止める」
勇者「どちらにせよニートと同じやん!?!?」
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◆そのころ人間国・王城
王は顔面蒼白で震えていた。
「ま、魔王が本当に勇者を“保護”しておる……!?」
文官「はい。しかも……勇者様の労働を制限し、
療養に専念させているそうで……」
王「うちの国では勇者に戦わせすぎていたということか……?」
将校(いや全員知ってましたけどね……言えなかっただけで)
文官は続ける。
「さらに、魔王領で働く他国民からの評判が……」
“魔王領は労働環境が良すぎる”
“残業ゼロ、休暇保証、温泉完備”
“人間国より福利厚生が上”
王「ふざけるなぁ!!!!!」
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◆魔王領の温泉にて
勇者は湯に沈み、完全にグデっとしていた。
「……働いてないのに疲れた……」
魔王「働こうとするからだ」
勇者「なぁ魔王……これ本当に俺の人生でいいのか?」
魔王はしばらく黙り――
小さく息をついた。
「……勇者。
お前は“働くこと”しか知らなかった」
勇者「……」
「戦いでしか自分の価値を測れない。
だから私は、お前に――
休む価値 を教えなければならない」
勇者「休む……価値……?」
魔王「ああ。
誰かのために戦える者は、
誰かのために休むこともできなければならん」
勇者の目がじわっと潤む。
「……魔王」
聖剣『お前ら、温泉で股間丸出しで感動シーンするのやめろ。せめて前隠せ!』
魔王は咳払いをした。
「ただし。感動しても働くな」
勇者「そこは変わらないのね!?」
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◆その夜、人間国から追加の通達が届く
側近「魔王様! また人間国から文書が!」
魔王「…今度は何だ何だ?」
側近「“勇者様を絶対に働かせないでくれてありがとう”」
勇者「俺、なんでそんな危険物扱いなん!?」
聖剣『まぁ頭のイカれた変人だし』
魔王「よし勇者。明日も休め」
勇者「断固拒否! 明日こそ働く!!」
魔王「言ったな? では――」
魔王は指を鳴らした。
ドンッ!
勇者の足元に “温泉専用檻” が出現した。
勇者「温泉檻!?!?!?」
魔王「お前専用だ」
勇者「こんなホワイト拘束ある!???」
聖剣『世界初だろうな』
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魔王(勇者はまだ若い……学園でも通わすか?)




