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『勇者よ、常識を見ろ』シリーズ  作者: 深森あい


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100/106

記念すべき第100話!勇者よ……働くなと言っているだろう!!

魔王領・温泉施設。


勇者は朝からやる気満々だった。


「よーし! 掃除して〜、配管点検して〜、露天の石も磨く!」


聖剣『お前、労働禁止令が出ているのを忘れたのか?』


勇者「いやいや、俺は“自主的に”働いてるだけだから!」


その瞬間、背後から冷気が走った。


「――勇者」


魔王がいた。

今日の魔王は、珍しく 目が笑っていない。


「お前、何をしている?」


勇者「えっ? 見りゃわかるじゃん! 仕事!」


魔王「……休めと言っただろう」


勇者「でも俺、働いてると落ち着くんだよ!」


魔王「黙れ。これは命令だ。

 働くな。今すぐ湯に浸かれ。」


勇者「ええええぇぇ!?!!?」


聖剣『……次回勇者死す!!デュエルスタンバイ!』



---


◆魔王、ついに“勇者労働監視制度”を導入


魔王は側近を呼んだ。


「勇者を監視しろ。

 一日三回以上働こうとしたら報告だ」


側近「了解いたしました!」


勇者「なんで俺を犯罪者みたいに……!」


魔王「お前は悪質な再犯者だ。

 昨日も“隠れて薪割り”していただろう?」


勇者「見てたの!?」


魔王「見てなくてもわかる。薪の量が増えていた」


聖剣『…懲りないねぇ』


魔王はさらに言った。


「そして――人間国から正式通達が来た」


勇者「え、また!?」


魔王は書状を開く。


「“勇者様の無理な労働を禁じ、

 魔王領は引き続き療養を徹底されたい”」


勇者「国公認でニートしろと!!?」


魔王「違う。お前は“保護対象”だ。

 だから――」


魔王は指を差した。


「働こうとしたら、私が止める」


勇者「どちらにせよニートと同じやん!?!?」



---


◆そのころ人間国・王城


王は顔面蒼白で震えていた。


「ま、魔王が本当に勇者を“保護”しておる……!?」


文官「はい。しかも……勇者様の労働を制限し、

 療養に専念させているそうで……」


王「うちの国では勇者に戦わせすぎていたということか……?」


将校(いや全員知ってましたけどね……言えなかっただけで)


文官は続ける。


「さらに、魔王領で働く他国民からの評判が……」


“魔王領は労働環境が良すぎる”

“残業ゼロ、休暇保証、温泉完備”

“人間国より福利厚生が上”


王「ふざけるなぁ!!!!!」



---


◆魔王領の温泉にて


勇者は湯に沈み、完全にグデっとしていた。


「……働いてないのに疲れた……」


魔王「働こうとするからだ」


勇者「なぁ魔王……これ本当に俺の人生でいいのか?」


魔王はしばらく黙り――

小さく息をついた。


「……勇者。

 お前は“働くこと”しか知らなかった」


勇者「……」


「戦いでしか自分の価値を測れない。

 だから私は、お前に――

 休む価値 を教えなければならない」


勇者「休む……価値……?」


魔王「ああ。

 誰かのために戦える者は、

 誰かのために休むこともできなければならん」


勇者の目がじわっと潤む。


「……魔王」


聖剣『お前ら、温泉で股間丸出しで感動シーンするのやめろ。せめて前隠せ!』


魔王は咳払いをした。


「ただし。感動しても働くな」


勇者「そこは変わらないのね!?」



---


◆その夜、人間国から追加の通達が届く


側近「魔王様! また人間国から文書が!」


魔王「…今度は何だ何だ?」


側近「“勇者様を絶対に働かせないでくれてありがとう”」


勇者「俺、なんでそんな危険物扱いなん!?」


聖剣『まぁ頭のイカれた変人だし』


魔王「よし勇者。明日も休め」


勇者「断固拒否! 明日こそ働く!!」


魔王「言ったな? では――」


魔王は指を鳴らした。


ドンッ!


勇者の足元に “温泉専用檻” が出現した。


勇者「温泉檻!?!?!?」


魔王「お前専用だ」


勇者「こんなホワイト拘束ある!???」


聖剣『世界初だろうな』



---

魔王(勇者はまだ若い……学園でも通わすか?)

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