絶句
十九歳で家を出た。
何かが来ているような気がしていた。
運が悪いような気がしていた。
時代はバブルが落ち着く時代である。
そんな世界。
文学をひた走る。
そこは戦国時代の戦いである。
最初をひた走った。
一言、文が硬すぎるような、そんなイメージ。
それを読みながら船を行き行きする。
次は沖縄で一番になるという野望があった。
写真を撮る。
景色。
波が揺れる。
その光景を。
ひたすら昔のことをよみがえる。
それは一人の女性のことだ。
いまにでもよみがえる。
鳥が近づく。
彼女はどうしているかと聞く。
機械を動かしていると聞いた。
いとこの子供たちとゲームの対戦をしていると聞いた。
ほっと一息。
すると横から波動のような音楽が聞こえる。
いつも聞きなれている音楽である。
琉球は音楽が盛んだとわかった。
俺は中村、盛、川北、といろいろな家を渡り歩いた。
それがどんなことか、一つの民家でこうおじさんに言われた。
「恩が沖縄でお前さんに向かって投げたいと風で聞いた」
たったそれだけで動き出した。
普通なる旅路のはずが、そんなことか、二度まで来てしまった。
俺は腋臭だ。
臭いから外にいる。
ぷーんと風に乗ってオバサンのわきのにおいが近づいてきた。
「くさい」
そう言って何か言われたような気がしていた。
まあいいか。
どうでもいいとタバコを吸う。
最近、メンソールというものを吸っている。
それがどんなにうまいのか。
となりのおじさんがこう言った。
「私は自衛官でね、君みたいな希望のある若者を探していた」
「すいません、流れをストップさせて、いただきます」
ぷはーと吹く。
煙がぼーっと出ているところから、さらに黒い煙がたくさん出てきた。
船というものは進歩しない。
なんという話だろうか。
同じ話が三周もした。
頭が眠気で対応できない。
こんな人が上にいるのか。
よくわからない世界だ。
煙を消して、酒を飲んでいる連中に向かって頭を下げて帰っていった。
個室。
船は与論島に向かっていた。
そんな世界でここまで来た。
二度目のハワイのような世界に興奮をしていた。
二十万あれば自由に動ける。
途中は歩けばいい。
楽しみだ沖縄が。
寒いとは聞かない。
季節は十一月十四日。
眠りについた。
するとこんな光景が移った。
自分より姿が背の高い男性が、戦っている様子だ。
まさか俺の子供……
地面を見た。
絶句して起きた。