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消えるラブコメ  作者: 菅田原道則
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そんなことより次話へ

 阿倍野高等学校は、普通の高等学校とは違う。カリキュラムは偏差値上位の方の学校と殆ど変わりはないのだが、その中にチラホラと見受けられないカリキュラムが割り振られていたりする。例えば骨茱が属するB組は式神を扱うのに特化したカリキュラムが割り振られている。



 なぜ?



 それは私達が陰陽師の卵だからだ。人ならざるモノへの対処をする為に、この学校へ入学した者。人ならざるモノに侵され、それを祓う為に入学した者。人ならざるモノを憎む者。商売にする者。入学理由は人それぞれだが、何かしらの目的をもって陰陽師になろうとしている。



 陰陽師界隈は大体実力主義だ。蝶番井のように世襲で継いでいる者も多いが、人ならざるモノを退治するには、力と知恵がいる為に、実力が伴なっていないと、家自体が没落するのは歴史を見ればわかる。



 大体の生徒は式神を扱えるが、B組よりかは扱えない。そして骨茱と決闘をする蝶番井はクラス代表だ。実力主義社会の陰陽師界隈で、世襲制を受け継ぐ一人である蝶番井は、この学年一番式神を扱うのが上手いと言っても過言ではない。



 ふふふ。面白い事になってきたと思わないかい? 口下手で四角四面な性格のせいで悪役令嬢な蝶番井と、嫌な八方美人で、ここぞという場面では少年誌の主人公のように正義感頑固な骨茱。その二人がお得意の式神で決闘をする。これが少年誌だったら、アンケート調査で上位に来ているに違いない。



 しかし! これは骨茱灯命のラブコメディなのだ。血と汗が飛び交うよりも、花や蝶が爽やかな風と共に舞う。拳と剣で語り合うのではなく、語り合っても素直になれずに、すれ違う。そんな情景が浮かび上がり、悶えるような感情を燻ぶらせてくれる物語なのだ。



 うるさいだろうか。いやいやうるさくなるのも仕様がない。私は彼女の親友であるからね。それに私は彼女を推しているんだ。この語りは私の仕事であり、推し活なのだよ。



 普段は寡黙な私も、彼女の事になると饒舌になってしまう。これは経験がある人の方が多く賛同がもらえると思えるね。



 さてはて、ストーリーテラーである私が紡ぐのは、彼女の心境ではない。彼女の心境は彼女だけのものだ。私は彼女の周りの事柄だけを、淡々と紡ぐだけ。もし、不都合があれば私が何とかしよう。



 できるのかって?



 できるさ。私はストーリーテラーだよ。物語を語れなくなったら、推活もお終いになってしまう。それに、私は最終回の次に、物語の更新が止まるのが嫌いでね。だからこの喉が潰れようが、両手で書き紡ぐし、両手を切り落とされたら、脚でも書くさ。命と言う物種が無くなるまで、私は骨茱灯命の語り部なのだよ。



 お前は誰だって?



 誰だっていいじゃないか。そんなことよりも、物語の続きが再開するよ。


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