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消えるラブコメ  作者: 菅田原道則
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間章を辞書に登録したいとは思わないかい

 物語には始まりがあり、終わりがある。骨茱灯命の物語を語るならば生誕から死後まで語り続けなければ、それは彼女に失礼と言えるだろう。しかし、失礼だが私が語るのは彼女のラブコメディー部分だけなのだ。それ以外の部分は肉削ぎして、身を削って、薄っぺらな食べるのにも、語るにも及ばない部分は捨て去ってしまおう。


 彼女はアルカード・ウラド・ラキュラと出会った。誰も彼もを魅了する麗人であり、天性の人たらしで、怪異の玉座に座れる男。そんな男に興味を持たれ、ましてや好意を抱かれ始めている、それはラブコメディーの始まりと言わねば、何を持ってラブコメディーと言えるのか。


 しかし骨茱灯命は、彼女はラブコメディーを一切求めていない。草食動物でももっとラブを求める、なんなら草食動物の方がラブを所望しているだろう。彼女は自分の呪いが進行して、いずれ消えてしまうのを理解している。つまり、知った気でいて、達観しているのだ。中二病みたいなものだ。その思慮がラブコメディーに発展させない。


 私は彼女にラブコメディーというのを体験してほしいのだ。この呪われた世の中に、少しでも呪われていない恋愛があってもいいじゃないか。七夕物語だって、人魚姫だって、眠れる森の美女だって、呪われた身から出た錆のような恋物語があるじゃないか。そんな童話や物語のように、普遍的に彼女は恋をしたっていいのだ。


 私は良き友として、そう思う。


 まぁ。


 まぁまぁ。


 それがアルカード・ウラド・ラキュラだけに好意を抱かれている訳でもない。本当に人たらしというか特殊な立場の人間を誑し込むのが得意な骨茱灯命という人物は、多種多様な人間に好意は抱かれている・・・どちらかと言うと好感触かもしれないが、少なからず嫌われている訳ではない。嫌な八方美人も見方によれば、良い一面もあるという訳だ。


 彼女のラブコメディは今に始まったことではないが、対抗馬が現れた事により、場が荒れるのは必至だ。


 私としてはそれも面白いので、是として語り続けよう。彼女が消えるまでずっと、共にね。



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