彼女の名前を検索しても出てこない
久しぶりに書きたくなりました。
遅筆です。
骨茱灯命とは。
いつもニコニコと笑顔を作って、当たり障りなのない言葉で、会話を受け流し、どこの集団に所属していても、八方美人。悪く言えば、いてもいなくてもいい人間である。
第三者から見れば、そう捉えられる。
八方美人には八通り以内で済む型がある。一つは、周りから嫌われない為。翻せばそれは、自分が、如何に傷つかずに済むかを考えている、臆病で卑怯な型。
一つは、他人を信用していない。誰にも信頼を寄せずに、自分だけを確立したい自己愛陶酔型。円グラフで大半を占めるのは、この二つだと、分析結果が、どこかのネットの海に落ちているのではなかろうか。
では彼女、骨茱は、それらの型のどれに当てはまるかを、当てよう。
骨茱は、全部乗せである。朝食バイキングで、食べられないくらいに、更に盛って、気分が悪くなるくらい、全部乗せだ。
もちろん、周りにいる人間は、良くはない。それはそれは、気分が悪い。
つまり、人を信用せず、自分が傷つきたくなく、主張はせずに、流れに身を任せる。
だから、骨茱には親友と言える親友はいない。
人間関係は、この通り一般女性としては、打算的で、普遍的なのかもしれない。
では見た目はどうであろうか。決して目を引く美人ではないとは言える。
綺麗か、可愛いかと言われれば、可愛いと言われる部類である。ただ同年代の女子たちよりは、化粧や手入れを、少し、していない。
背丈も、体重も平均的で、周りから抜きんでるものは一切なく、特技、特徴も、特筆することはない。敢えて特徴を捻りだすなら、右肩甲骨にほくろがあるくらいだ。
しかし。特別な。もとい特殊な病気は患っている。
だからと言って、儚げな彼女、病弱な日焼けしていない白い肌、不幸感を振りまく女などではない。その特殊な病気以外は、ただの嫌な八方美人なだけだ。
いやはや、だからこそ、なのかもしれないが。そこは骨茱自身が、どう自分を捉えているかだ。
当事者ではない私は、ほとほと分からない。
結局、人の名前を検索して、理解できるのは、概要くらいなのだ。
何故私は、彼女の、骨茱灯命の説明をしているのかを説明しよう。聞き手の皆様に、説明する責任が私にはあるから。
私はストーリーテラー。日本語に直すと、物語の語り手だから。
これから私は、骨茱灯命を主人公にした、物語を語らせてもらう。
その為に、皆様方には、この主人公とは思えない浅ましい性格、ましてや、病弱ヒロインとも言えない特殊なキャラクターをした彼女を、知ってもらいたい。
実を言うと、私と彼女は、親友とは呼べない親友の間柄でね。少しでも、彼女を多くの人の記憶に残しておきたかったんだよ。
あぁ、ネタバレをしておくが、私は黒幕ではない。ただの親切な語り手だ。
嘘じゃない。嘘は嫌いでね。
では、この特に変哲のない、性格に難あり、容姿に難ありの、骨茱灯命の恋愛コメディーを、お楽しみください。