船は何かを渡すもの?(タマゲッターハウス:推理の怪)
このお話は『小説を読もう!』『小説家になろう』の全20ジャンルに1話ずつ投稿する短編連作です。
舞台や登場人物は別ですが、全ての話に化け猫屋敷?が登場します。
とある古屋敷に名探偵と称される黒猫の獣人が住んでいました。
今夜はそこに来客があったようです。
ふむ。君は『推理対決をしたい』というのかね。
それで『なんでもいいから問題を出してみろ』と?
ほうほう。『どんな謎でも、たやすく解いてみせる』とな。
それは頼もしい。
では、こういう問題はどうだろう。
君が渡し舟の船頭をしていると思ってくれ。
そうそう。橋のない川で、お客さんを対岸まで運ぶあの舟だよ。
そこへ三人連れのお客さんが来たんだ。
乗りにきたのは、おじいさんとおばあさんと孫の男の子の三人さ。
おじいさんは言った。
「船頭さん。わしら三人を舟に乗せてください」
船頭は答えた。
「さいですか。こまりましたな。この舟は小さい。わたし以外のお客さんは同時に二人までだ。みんなでいっしょに乗るのは諦めてください」
おばあさんは言った。
「船頭さん。孫はまだみっつで小さいから、わしらのどっちかがそばにいないといけないのじゃ。さいあく、何回かにわけてでもいいから、運んでください」
その男の子は小さくて怖がりだったんだ。
かならず、おじいさんかおばあさんのどちらが、その坊やと一緒でないといけない。
対岸まで渡り終えるのに、この舟はさいていで何往復すればいいかわかるかい?
そうそう。これはいわゆる船頭クイズってやつだよ。
なになに? 『簡単すぎて、図に描くほどでもない』って?
ほうほう。『ヒツジとオオカミを運ぶ問題の方が難しい』とな?
そういう船頭クイズもあるね。
ヒツジとオオカミだけをいっしょにすると、ヒツジが食べられてしまうってやつか。
たしかに、そっちの船頭クイズのほうがめんどくさいかな。
『それと比べると今回のは、おちゃのこさいさい』って?
たいした自信だね。じゃあ今回の船頭クイズでは答えは、さいていで何往復だ?
ほうほう。『二往復』だって?
『さいしょにおじいさんかおばあさん、どちらかが男の子と一緒に乗って渡る』と、なるほど。
それで『さいしょのふたりを対岸でおろす。そこで待たせておいて、舟は元の岸に戻る』とな。
なるほど、船頭だけの空っぽの舟で、さいしょの岸に戻るわけかい。
『残った一人を舟に乗せて送り届ければ、三人とも渡り切れる』と……。
はっはっはっ……。よくわかったね。正解だよ。
では、これ以外のパターンは考えられるかい?
ほうほう。『さいしょ、おじいさんかおばあさんのうちの一人だけを運んでおく』と。うん。それでもいいかな。
次に残った人たちを運ぶんだね。この場合でも二往復ってことか。
うん? 『ささいなことだけど、実際には一往復半だと思う』って?
ああ、たしかにそうだ。完全に『往復』したのは一回だけって考え方もあるか。
まあ、今回の船頭クイズは片道での移動も一回と数えて、さいてい二往復で正解だよ。
ところで、おばあさんがそこを去るときに船頭にこう言ったんだ。
「一回分の料金で運んでくれてごめんなさい。私の息子はあんたと同じくらいの歳なんだ。運んでくれて助かったよ」
そしてお孫さんの坊やも、こう言ったわけだ。
「船頭さん、ありがとう。さいならー」
それでは、ここで問題だ。
おばあさんの息子は、なんさい?
最後の問題の答え、わかりましたか?
解答は下の文を右から読めばわかるかも。
。るいてっいとうどんせがみきにょしいさ。いれんねのみき